第三百二十五話
「なんというか……私も人間離れをしてきたな」
今まではニュータイプの才能や私の頭脳をもって化物などと呼ばれていたが、これはさすがにどうかと私自身も思う。
このシステム……元ネタとニュータイプの能力に依存していることからオーラシステムと名付けた……は、単純な作りであるため試してみたのだ。
単純な作りというのは、ほとんどをクィン・マンサIIが最初から条件が整っていた。必要だったのはメガ粒子を抑えるのに発光現象を利用するために戦闘濃度より濃密なミノフスキー粒子を発生させるミノフスキー粒子発生装置のみというものであった。
つまり、ミノフスキー粒子発生装置を腕部に設置して完成という技術やシステムというにはお粗末なものであるが、機能としてはとりあえず完成したのは間違いない。
それでプルシリーズとテストを兼ねた模擬戦を行ったのだが、結果はプルシリーズが拗ねるほどの成果を表した。
まずビームライフルを取り回すなどという動作がないため攻撃予測がしにくいこと、次に出力が自由自在ということはキュベレイ・ストラティオティスのIフィールドを超えて装甲を撃ち抜く出力での攻撃が可能で全てが有効打となるということ、そして最大の誤算である——
「まさか敵のビームをも集束できるとは……」
このオーラシステムは発光現象を利用しているわけだから私の意思が大きく反映されるのは当然だ。なのでつい遊び心が出て、プルシリーズが放ったビームを留めているメガ粒子に向かって集束させてみたのだが、それが成功してしまった。
もちろん模擬戦のため低出力のビームであるため、実験し直してみた。結果は戦艦クラスのメガ粒子砲でも集束可能ということが判明した……ただし留めているメガ粒子、一々面倒なので元ネタにあやかったエネルギー弾と呼ぶことにするとして、それが大きく肥大化してしまう。
肥大化すると抑え込むのに私やサイコミュに負担が掛かる。移動にはさほど苦労しないが、やたらと光っていて目が痛くなるなどのデメリットがある。
ちなみに負担が掛かるというのはプルシリーズだと3分も経たずに失神するレベルだ。
「明らかに使えないな」
私が戦場に立つなら使えるが、それではプルシリーズの存在意義を失わせることになる。何よりサイコミュクッションと併用するとするととてつもなく疲労することも難点だ。
「創造主」
「どうした」
プルシリーズが使う私の呼称はそれぞれの個体で決まっているが種類は様々だ。しかし、この研究開発に専門としたプルシリーズは、私への呼称は創造主でまとまっている。
これは示し合わせたものではなく、各々が決めた呼び方が創造主だったのだ。
施した教育によって呼称に偏りが生まれる。また新たな研究材料が生まれたな。
「あのエネルギー弾、遠隔操作はできないのですか?」
「ふむ、やってみるか」
やはり未熟であっても1人でやるよりは複数の視点から見る方が研究は捗るようだ。
そして試した結果——できなくはないけどやりたくないというものになった。
エネルギー弾が離れれば離れるほど私の負担が増大することが判明した。私でも嫌になるぐらいだからプルシリーズだとおそらく精神的に死ぬことになるレベルだろう。しかし、不思議なことにサイコミュへの負担は増えなかった。
この発光現象は本当に謎が多い。