第三百三十三話
申し訳ない。
体調がよろしくなく、短くなりました。
ミソロギアは戦時体制を取ることとした。
具体的にはキュベレイ・ストラティオティスIIの増産と整備施設の充実、プルシリーズがさらなる地獄を覗き込み、交易所では輸出量を減らして輸入量を増やして物資の備蓄を優先、不老もどきの処置のペースを上げ、プルシリーズは絶望の声を上げ、ミソロギアそのものに手を加え、プルシリーズの涙を流して許しを請い、私とジャミトフ、カミーユ、プルツー、シローは指揮能力の向上を目指し、プルシリーズは一周回って無表情に——
「アレンさん、プルさん達が死んじゃいますよ?!」
「ここのところ人数を急に増やし過ぎた影響が出ている。以前も同じように引き締めを図ったが、やはりまだ緩い。これから本当の戦争を経験することが確定した以上、死なないように最善を尽くす」
「それはそうですけど……」
プルシリーズもゴミ(海賊)掃除で少しは経験を得ているが、その程度の経験では戦争ではあまり役に立たないだろう。
そもそもにして私の作ったMSがゴミ程度に負けるわけもなく、操縦ができれば基本勝ちは揺らがない。
しかし、今度の戦いは間違いなくこちらよりも多い敵と戦うことになる。
1対3程度なら勝てるだろうが1対10となればわからない。ファンネルの運用、周りとの連携などが上手く行けばひょっとすれば死者がなく勝利できるかもしれない。だが、今のプルシリーズを軍人としてみるとやはり油断が生まれている。
まぁ私の作ったMSに乗り、私の作った仲間がいるのだから油断しても仕方ないのだが、その油断は己の命と周りの命を持って支払うことになる。それが戦場だ。
「何よりアムロの専用機が出てきている以上、シャアの専用機も警戒する必要がある」
「確かにシャア大佐(昔の名残でスミレはこう呼ぶことがある)の警戒は必要ですね。なにせ赤い彗星ですし」
元ジオン公国に所属者だけあってスミレは連邦所属で情報があまり多くないアムロより味方で研究対象でもあり、情報が多く揃えられているシャアの方を警戒している。
シロッコやその下のニュータイプ部隊は……まぁなんとかなるだろう。おそらく私と本気で敵対する気はないはずだ。
シロッコはニュータイプへのこだわりが強く、新しい世界の統制はニュータイプにこそ相応しいという信念で動いている。そして現在把握できている中でニュータイプ能力が図抜けている私を敵対する行動は起こしづらいだろう。
アムロは兵士、シャアは統率者、シロッコは新興宗教の司教と言ったところか。その表現で行くと私は教皇かな。決して恐慌や凶行ではないぞ。
「そういえばあのガンダムが装備していたIフィールドを発生させるファンネルは作らないんですか?あれば便利そうですけど」
「あんな小型のファンネルで張れるIフィールドなんて役に立たない。キュベレイ・ストラティオティスのビームはどれも防げないと試算が出ているからな」
「それだと意味がないかもしれませんね……でもストラティオティスのビームは防げなくてもファンネルは防げるんですよね?それをマニュアルに加えておく必要があるかもしれません」
「そうだな。大して脅威にはならないはずだが、混乱しないために手を打っておくか」
脅威にならないとは思うが、プルシリーズの経験の無さを考えれば一瞬の混乱が起こる可能性は考えられる。
ニュータイプの混乱はMS本体とファンネルの動きにまで影響を及ぼす。
それ故に不測の事態を想定してスタングレネードやデコイなどへの心構えは対策済みなのだが、よく考えれば敵にIフィールド発生装置を持つ機体との戦闘経験は味方同士での模擬戦やシミュレータしかない。
実戦で相対した場合に混乱が生まれて隙が生じる可能性がある。もしその相手がアムロやシャアだった場合、その一瞬の隙で勝負が付く可能性は高い。
そして1人のプルシリーズが破れれば周りにも動揺が広がり、被害が拡大することも考えられる。
……もしかするとシロッコ設計のジ・Oの隠し腕は対ニュータイプ兵器だったのかもしれない。普通はあんなところから腕が出てくるなんて思いもしないだろうからな。プルシリーズ相手にアレを使われていたら…………なぜだろうか、プルシリーズが変態に襲われている絵面に見えてしまった。とうとう思春期に突入か?(ちなみにアレンは28歳である)