第三百八十九話
「旋回を始める。怪我をするような不格好を見せた者は1ヶ月特訓を施すぞ」
あちらこちらから悲鳴が聞こえてくるのでちゃんと伝わったようなのでミソロギアを旋回を始める。
ミソロギアに取り付けられた姿勢制御バーニアを点火させ、更にサイコミュと組み合わせることで燃料消費が皆無であり、その代わりに推進力が弱いミノフスキードライブまでも使って旋回を早める。
そして相応の慣性がミソロギア内部で発生し、若いプルシリーズが悲鳴を上げたり、奇声を発したりしているが今のところ怪我や混乱は無いようだ。
旋回中ではあるがMS部隊は次々とミソロギア内に帰還を果たしている。この程度で手間取るような者はそれこそ殺してくれと懇願するぐらいの特訓も辞さない。
艦艇に関してはさすがに無理があるため、予め静止予定座標を送り、そちらに進むように予め誘導してある。
――よし、操っていたレナスで唯一の脅威であるアムロ・レイを集中砲火したことでプルツーは撤退ができたか。なんとか間に合う……が、他のエース部隊が追撃してくるな。面倒だが新たにレナスを派遣して足止めをしておく。
こちらが撤退しているんだから追撃などやめておけばいいものを。
「座標固定。砲門開放。エネルギー充填……問題なし。居住区への影響……異常なし。砲内に生体反応……なし。まぁ私が設計し、私が作ったのだから当然だがな。さあ、私が作ったコロニーレーザーを味わうがいい」
ジオン公国が開発したコロニーレーザーと出力は同じだが、ミソロギアに内蔵されているという関係で居住区などの施設を併設されている。つまり、ジオン公国側のコロニーレーザーはコロニーを1基使い潰しているのに対してミソロギアの砲身はコロニーの半分でしかない。つまり私のミソロギアの方が優れているということだ。
「発射」
アニメやマンガならカウントしたりするだろうが、コントロールをしているのは私1人で、このマスタールームにいるのも私だけなのだからそんなものは省略して準備が出来次第発射した。
「内壁、外壁、異常なし。レーザー施設を簡易メンテナンス……異常なし。さすがにこれを試射するのは問題があったからな。さて、ターゲットは……違わず命中、しかし、やはり全て破壊するのは難しいか」
こちらのコロニーレーザーを想定していたのかしていないのかわからないが、ソーラ・システムはかなり広範囲に展開されていてコロニーレーザーを1発ではど真ん中に穴を開ける程度に留めた。
威力と射程は申し分ないがコロニーレーザーだが、範囲としてはコロニーの直径と同等程度でしないからな。
「それにコントロール艦は複数用意されているとは……こういうところだけは用意周到だな。連合……いや、これを仕組んだのは連邦か」
エゥーゴにしろティターンズにしろニューオーダーにしろ、現状の連合は戦略級兵器の保持は禁止されている。(開発は禁止されてないらしいがな)
故に今回のソーラ・システムは間違いなく連邦によるものだろう。連合に要請されたのか、己から買って出たのかは知らないがな。
「しかも3ヶ所に分けるとは大盤振る舞いだな」
つまり――――
「躱せない」
それはMS部隊と艦隊がミソロギアに帰投が終わったのと同時にだった。
「くたばれ!テロリスト共!」
ソーラ・システムが太陽の光を拒絶し、一点集中させ、膨大なエネルギーでミソロギアを消滅させようと迫る。
―――――が。
「しかし、この不穏な気配の正体が未だにわからん」
その膨大なエネルギー全て、ミソロギアが発する光によって受け止められた。
「確かにこれが察知できていなかったなら危なかっただろう。だがそれも私がミソロギアで本気を出せば防ぐことだって可能だ」
そう、これは私が本気を出さなければ防げないほどの攻撃ではある。だが、逆に言えば本気さえ出せば防げてしまう攻撃なのだ。
もっともさすがにソーラ・システム3基分のエネルギーを防いだとあってはミソロギアに施しているサイコミュが軒並みオーバーロードしてしまうだろうが、しかしそれがあろうがなかろうが戦局に変化は生まれないはずだ。
つまり、これが不穏な気配の正体ではないということに――
「――なんだ!この異常な数値は?!」