第四百九話
「生身では初めてお会いします。ミソロギア代表アレン・スミスです」
「ネオ・ジオン摂政、ハマーン・カーンだ。あいにく私には其方が生身であるかどうかなどわからないがな」
私の部屋に何処に置いてもまるで主のように鎮座するアレン人形は分解しなければ調べてもいいと許可を得て、調べてみたが、専用設備がないと外部から計測しただけではほぼ何もわからなかった。
そして肉眼で視る限り、人工物にはとても視えず、呼吸をして心臓まで動いて、まるで人間のようでそれを否定する要因が呼吸しているようではあるが二酸化炭素などを吐いていないこと、そして見た目に反してかなり重いことぐらいしかないのだ。
そのせいで、あまりに落ち着かないので部屋を移った。なぜ私が自室を追い出されなければならないのか。
……アレンが動かした時に私が居なかったらいつの間にか居場所を探り出し、部屋に侵入してくるので心臓に悪く、それならば最初から居心地が悪いながらも自室の方がマシだと思い、部屋に戻ったが、これだからマッドは!
くっ、フラナガン機関の奴らの幻影がちらつく。
(あまり強く発するな。視られたくはない過去だろう?)
「っ?!」
これは共鳴……か?いや、そんな偶発的なものではないな。これは。
あの情報共有などと言っていた共鳴からわかっていたが、この男……底が知れぬ。
外に護衛についているキュベレイ・ストラティオティスも警戒が必要だが、それよりもアレンを警戒する必要があるようだ。より一層気を引き締めて当たらねばならんな。
しかし、このような会合の場で友好的とは言えない関係であるのにたった3人で挑むとは、非常識なだけか、人員がいないのか、それとも……我々を舐めているのか。
「さて、挨拶が終わったところでまずは面倒な捕虜引き渡しの交渉を終わらせるとしよう。これが終わらさないとそちらも落ち着かないでしょうから。まずは改めて捕虜の名簿と引き渡す兵器に関してのリストと設計図です」