第四百十話
アレンの言葉に脇に控えていたノーマルスーツで身を固め、ヘルメットはミラーシールドが施されていて顔はわからないが、体型から察するに成人した男が進み出る。コヤツが交渉役か?
「これがリストになる」
たった一言。
しかし、その一言で我々には十分だった。
親衛隊がその正体察知して私が制止する前に銃を構える。
「さすが親衛隊ともなると声だけで重要人物を識別できるか」
そう告げる声は間違いないなく――
「そちらはどうか知らないが、少なくとも私はお初にお目にかかる。ミソロギアで補佐を務めているジャミトフ・ハイマンだ」
そう言ってヘルメットを取った……のはいいんだが――
「……本当にジャミトフ・ハイマンか?ミソロギアは時間的には未来から来た、と聞いていたが随分と若いようだが」
何処からどうみても30代……若くみて20代後半、老けてみても30代の後半にしか見えない。
ジャミトフが死ぬきっかけとなった会談の時はもっと年老いていた。もしかするとあのジャミトフは影武者か?
「我々の居た世界ではある一部の者達の間でこういう言葉があった――――理解不能なことはだいたいアレン代表のせい、と」
「なるほど」
つい納得して頷いてしまったが、さすがに失礼だったかと思ったがアレン代表は気にした様子もなく、後ろに控えるもう1人も私のように……いや、私よりも深く頷いている。
薄々わかっていたが、ミソロギアという組織の中でもアレン代表は異質の存在のようだ。
「この身体はもう8割はアレン代表の手によって取り替えられたものだ」
「正確には88.432%だな」
ほぼ90%だな……ってそうではなくて――
「取り替えられた?」
「アレン代表は前の世界でも不老化処置と銘打って行っていた。ミソロギア最大の外貨獲得手段でした」
「元手はあまり掛からず大金が手に入るからな。ハマーン閣下も手術を受ければ――」
「こんな感じになるわね」
そう言ったのはアレン代表の後ろに控えていたヘルメットを取――――
「その姿は、16歳頃の私……」
「初めまして、この世界の私」