第四百十四話
「名残惜しいがしばしのお別れだ。大変勉強になった。礼を言う」
「こちらとしても良い取引ができた。この後、早々に例のコロニーを引き取らせてもらうが問題ないな」
「問題ない。各所には連絡を済ませたのでいつでも引き取ってもらっても問題ない。後、ついでに周辺のデブリも好きにしてもらって構わん。デブリは好きだろう?」
大好物だ。
久しぶりに楽しい時間が取れそうだ。
ただ、しばらくは情報収集を優先するため片手間でしか行えないだろうが。
「ありがたい申し出感謝する。好意も甘えさせていただく。しかし甘えてばかりというのも健全な協力関係を維持するのに問題になるでしょう。今回お渡ししたMSもしくは使われている核融合炉をご提供させていただきます」
そしてあわよくば元の世界同様MS製造を請け負えるのが理想……でもないか?この世界の独自の技術発展の芽を摘んでしまうかもしれない。いや、むしろオーソドックスなMSを提供して他の方面に力を入れてもらうように促すか?量産型としては完成度の高いジェガンを提供するのもありかもしれん。そうすれば、数よりも質にこだわるしかないネオ・ジオンは量産機をジェガンに据えて特殊機体を開発してくれないだろうか。
「それはありがたい。頂いた改造されたガルスJを試させてもらってから改めて連絡しよう」
言外に、まだガルスJ・A型(勝手に命名)が解析終わってないのにもらっても困るわ!と言われたようだ。急ぎ過ぎたか。
「では、ご連絡をお待ちしております」
アレン人形はハマーン閣下に預けたままなのでいつでも、それこそ戦闘濃度のミノフスキー粒子散布でも人形そのもののレスポンスが悪くなるが話すことはほぼ遅延もノイズもなく行えるのだから問題はない……のだが、なぜかハマーン閣下は顔を若干引きつらせる。まだ何か足りなかったか?
「其方達にとって住みやすい世界であることを願う」
こうしてネオ・ジオンとの……この世界のハマーンとの会合は無事終えることができた。
というわけで――
「ミソロギアは廃棄されている同型コロニーを回収に向かう。場所は旧サイド5、現サイド4だ」
「それってアレンが頼んだの?」
「いや、そもそもハマーン閣下には私達が何処にいたのかすら話していない。つまり全くの偶然だ」
なんの因果か、私達はまた旧サイド5、現サイド4、そして今は亡きデラーズ・フリートの本拠地である茨の園に居を構えることとなったのだ。
「現状はどうなっているのだ」
「一応サイド4を再建しようという計画そのものはあるが事実上放置、どちらかというと計画を立てることで予算を確保して浪費しているそうだ」
「連邦は世界が変わってすら変わらず、か」
「更に無許可のジャンク屋達が活動しているそうだ。相手は違法だから手段は問わず、殺さず引き渡しさえすれば問題ないそうだ」
「これまではともかく、これからはデブリはアレンのなんだから当然よね」