第四百十七話
「やはりデブリはいい。手に入るものが全て資源……実にいい」
プル達が続々とデブリを運んでくるのを見て満足する。
昔はパズル感覚で色々作ることが面白かったが、組織運営を始めた今は少し意味が違う。
採掘からだと採掘や精錬作業はともかく、無駄なゴミが多くて嫌になる。主にこれだけゴミがあって使えるのはこれだけか、という無力感だ。しかもゴミを投棄するには加速させる必要がある。つまり推進剤を消費するのだ。ゴミを捨てるのに!!ゴミなのに!!
その点地球は電気で運搬できるのはいい。分別規則が面倒で仕方ないし、金も取られるらしいが……そういえば今までゴミ回収費って払ったことがないな。
ということで既に精錬されているデブリはゴミが出ず、大事な推進剤も消費されない。本当にデブリはいい。
「ハマーン閣下から核融合炉の依頼も来たし、今のところは順調か」
どうやら試験をクリアしたようで何よりだ。
当面はこちらで生産するが、生産設備が整えられ次第ライセンス生産に移行する手筈になっている。まぁこんな旧式の核融合炉生産にリソースをいつまでも割くなんて効率的じゃないからな。
「そういえば輸送のことを考えてなかったな」
これまでは交易所に相手が訪れ、引き取っていたが、今回はそのような場所を確保できていないため招き入れるならミソロギアそのものになってしまう。さすがに私達の棲家に招待できるほど信頼はない。ハマーン閣下との会合だってわざわざ簡易コロニーを用意したぐらいだ。簡易コロニーを交易所にするにはさすがに小さ過ぎて、他に使い道もないので早々に解体した。
それはともかくMD母艦で輸送しかないか。レナスも100機用意できたし、近日中にもう100機、それに程度のいいデブリMSを改修してデブリのフリをさせて宙域にばら撒いているから防衛面ではある程度は問題ないか。
「派遣するのは…………ハマーンもジャミトフもカミーユもトラブルになる予感しかしない。イリアもハマーン達ほどではないが目立つな。ファかフォウか、それともジャミトフの部下達か……何にしてもプル達だけで派遣はなしだな」
ファ・ユイリィはアーガマに乗っていたため知っている者がネオ・ジオンにいても不思議ではない。ジャミトフの部下は腐ってもティターンズ総帥の側近だったわけである意味カミーユより知名度は上な可能性がある。
フォウは連邦所属だったがムラサメ研究所の検体の1人に過ぎないので知っている者は少ないだろう……が、フォウに部隊の指揮に交渉には向かない。なにせやる気がない。
ここのところフォウとファの料理対決なるイベントが開催されるぐらいに料理にハマっている。そして料理を学んでいる理由はカミーユ争奪戦であることは言うまでもないだろう。
ちなみに試食会で多くのプルシリーズが犠牲になったりもした。おかしいな、プルシリーズは毒耐性があるのだが?
「それにしてもどこの世界でも面倒なやつがいるもんだな」
元々は地球連邦軍の教導隊でティターンズの影響を強く受ける反スペースノイド組織、ニューディサイズというのが小惑星ペズンで蜂起したらしい。
まぁこの情勢なら武力蜂起をしたくなる気持ちはわかるが、どう考えても先はないだろうに。