第四百二十二話
「そういえばミソロギア2の残ったスペースはどうするか考えてあるの?居住スペースはミソロギア1で十分だと思うけど」
ミソロギアの土台となっているコロニーは元々2000万人の生活を支える大地だ。
半分をコロニーレーザーに使われていても総人口は人口1万人どころか5000人にすら届かず、生産工場や研究施設の方が広いぐらいだ。それでなお余っているのが現状だ。
ちなみに農業プラントや養殖プラントが外付けなのは環境を整えるのに楽だからで、その気になればコロニー内でも作ることはできる。
それはともかく、ミソロギア2が加わるとなると更に空きスペースができることになるわけか。
「まだ完成していないが事前に計画は必要か」
「税金とか掛かるわけじゃないけど維持費は掛かるから何か生産性があった方がいいわよ」
物はあるだけで消費するものだからハマーンの言うとおりだ。
正直軍備に開発に情報収集にプル達のご機嫌取りに資源回収にミソロギアの新型サイコミュのチェックにその新型サイコミュにもう少し様子見するが問題なければ量産化予定とやることが多過ぎる。プル達がもう少し成長すれば……ネオ・ジオンに卸している核融合炉が製造できるようになればもう少し楽になるか。
「とりあえずは模擬試験場として使うとするか。情報を隠蔽するのにちょうどいい」
模擬戦や新兵器の試験はこちらの世界に来てからできていない。
情報を隠す必要性は技術の隔絶によって少ないが、問題は外部に刺激的すぎる。私達にとってはなんてことはないものでも他の組織には威圧と取られてしまうだろう。特にまだ接触していない連邦は特に過剰に反応しそうだ。ニューディサイズが活発に活動しているからな。
だからと言って情報隠蔽のためにミノフスキー粒子を散布し続けるというのも無駄が多い上に嫌な憶測を呼ぶことになる。いや、ひょっとしたらろくに調べもせずにニューディサイズの拠点扱いにして問答無用で軍を向けてくる可能性が高い。
どうもこの世界の連邦は前の世界の連邦よりも短絡的らしく、ティターンズ崩壊、ネオ・ジオンの台頭、ニューディサイズの蜂起など不穏な情勢にも関わらず部隊規模程度なら簡単に動かすようだからな。実際、いくら蜂起して脅威とはいえ、軍の立て直しすらできていないのにガンダムヘッドの新型MSを中心に編成した部隊だそうだ。
ハマーン閣下から聞いたが詳細はわからなかったがネームだけはわかったようで、ZプラスC1型、Sガンダム、FAZZ、ネロ、ヌーベル・ジムIIIとSガンダム以外は初耳な機体ばかりだ。
ZプラスC1型とFAZZとヌーベル・ジムIIIはバリエーション機だろうが、ネロという機体が気になる。ネモの後継機だろうか?
それはともかく、下手をするとこれらの部隊をこちらに向けられる可能性がある。
その程度の部隊に負けるわけがないが、下手をすると連邦そのものが動いてしまうかもしれない。まだまだ総力戦になれば負けてしまう可能性がある……具体的にはミソロギアが守れない可能性がある……今の戦力では敵に回す要因は少ない方がいい。
「そうね。MSを自由に動かせる場所があってもいいわね」
「となるととりあえずは外殻だけでも形だけ整えるか。それならそう時間は掛からないだろう」