第四百二十四話
「なぜだ」
ハマーン閣下から連邦の新型MSを秘密裏に開発中という情報が入ってきた。
しかし、それは不可解なものでしかなかった。
まずアナハイムが全く関与していないということ。
実は前の世界と1番大きく異なり、一年戦争、デラーズ紛争、そして先日のエゥーゴとティターンズの戦いグリプス戦役と荒波を乗りこなし続け、軍需産業の、特にMS産業の利権を独占して巨大化どころか肥大化してしまっている組織、アナハイム・エレクトロニクス。
そのアナハイムの関与が一切なく、更には開発している新型MSは量産型であるという。
情報ではつい最近ジムIIIが配備され始めたというのに量産機など……ジムIIIがジムIIを近代化させただけの代物であったとしても時期的に微妙だ。
連邦ほどの組織ともなればジムIIIの開発と並行していくつもの次世代機を開発させるはずだし、そうであったらしい。しかしジムIIIを配備し始めた段階になってから、突然今回の開発がされ始めたそうだ。
しかもそのMSは――
「なぜジェガンがこんなに早く……」
開発ネームがジェガンとなっている以上はおそらく私達が知るジェガンと同様の機体だろう。
しかし、連邦系のMS開発リソースは少し前までティターンズが占めていたし、技術も独占していてティターンズの消滅した今、やっと連邦に流れ出たあたりのはずで解析やデータ取りなどに時間が掛かるはずだが、それらをまるで無視した新型量産機の開発などするはずがない。
だからこそ不可解なのだが。
「このタイミングで量産機の開発……しかも不思議なことにその開発がスムーズで、その上ジェガン……となると何かきっかけがあるはずだ。調べてみるか?」
…………いや、ここはあえて放置するか。
もしジェガンを開発されたところでなんら脅威にはならない。むしろジェガンを開発することでネオ・ジオンが対抗してMS、MA開発に力を注げば私達にも利がある。それにジェガンの先も開発される可能性っが高まるだろう。
「想定よりも戦乱が早まるか大きくなりそうだ。大気圏内戦用MDの開発を急がねば」
そろそろ地球に密かに送った大気圏内の情報収集用小型ロボットが到着する頃だろう。
両手で包める程度のサイズであるため観測もされにくい上に情報収集には十分な性能を持たせてある。まぁ小型故に大気圏離脱のデータまでは取れないがな。
最悪、大気圏から離脱できなければ自爆させてしまえば問題はないか。
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スマホが壊れて凹み中です。