第四百二十八話
ネオ・ジオンが地球侵攻予定日まで2週間を切った。
その間に色々あった。
シルメリアのベースは完成したがギリギリまで地球から送られてくるデータを反映させるために製造はしていないが、母艦級2隻が率いる予定のMD80機は30分と経たずに揃うようになっているので当日に準備するので問題はない。
しかし、シルメリアには気に入らない部分がある。
それはデザインだ。
レナスの姉妹機であることからヴァルキリーなデザインにする予定だったが、宇宙ならともかく、大気圏内では航空力学に沿って効率重視にせねばならないため、どうしてもデザインが無骨で既存の兵器と似通ってしまう。
ジオンのグフ・フライトタイプやティターンズのバイアランのような人型で飛行するのは非効率極まりない……ロマンは認めるが……改めてZガンダムは随分といい設計だったのだと思う。可変時に砂埃などで支障を来さなかったことも含めて。
それをカミーユに告げたところ、微妙な顔をされた。どうやら私に褒められると違和感が強いようだ。
というわけでシルメリアは高機動型レナスと似通った姿形になるだろう。つまらん。
後、キュベレイ・ストラティオティスIIは廃番することとした。
キュベレイ・ストラティオティスより早く廃番にすることになるとは思わなかったが、主な理由はサイコミュが改良されたこと、専用機化が進み過ぎてメンテナンスや予備パーツの製造などが面倒であることや戦闘によるパイロットの疲労蓄積度がプルシリーズでも大きいためパイロットを交代させる必要があり、専用機化してしまえばそれができないこと、決戦時に得たデータを反映させたいこと、などが重なった結果だ。
まぁ乗っていた上位ナンバーからはせっかく専用機ができたのに!!と、随分苦情が来たが元々キュベレイ・ストラティオティスというネームは量産機に付けられるものだったのに専用機化してどうするという話だ。
だから改めてキュベレイ・ストラティオティスIIの開発を始めた。Iナンバーは面倒なのでIIのままだ。
後、大気圏内……地上制圧戦なんて機会があるかもしれないと考え、そこから芋づる式にもしかするとミソロギアに侵入してくるならMSなどではなく、生身の人間ぐらい小さい存在かもしれないと思い至り、対人兵器の開発に着手した。
プルシリーズは陸戦もできるだろうが、MS戦と比べて死ぬ確率は跳ね上がるのであまりしたくない。それに現状ミソロギアのプルシリーズが圧倒的人口を占めているのは当然だが、それを少し緩和することでプルシリーズにもだが、他の人間達の精神的負荷も軽減しようと生体アンドロイドを予定している。簡単に言うとアレン人形の姿形を変え、自律化させたものに近いものに――いや、あえてSAN値を削るような姿形もいいかもしれない。検討しておくとしよう。
さて、色々あったと言ったものの実際にあったのは私達ではなく、ネオ・ジオンの方だ。
どういった経緯かは興味なかったので調べていないが本拠地のはずのアクシズにアーガマが攻撃を仕掛け、しかもなぜかこの世界のジュドー・アーシタとハマーン閣下が出会うという数奇な出会いがあったようだ。
更にアーガマを逃した上に一方的に被害を被ったそうだ。
話を聞くとアーガマが強かったというよりもアクシズに駐留していた戦力は新米が多かったためらしいが……さすがに重要拠点の防衛部隊とアーガマ単艦なんて圧倒的優位で負けていたらシャレにならないだろう。はっきり言えば醜聞だ。
とてもではないが地球征服なんて無理だと思うが……。