第四百二十九話
ネオ・ジオンの地球侵攻作戦が始まった。
ハマーンが率いるネオ・ジオンの部隊はダカールを目指して出撃した。
同時刻、ミソロギアより母艦級2隻、MD艦20隻も出撃する。
指揮官は、世界が違っていても地球連邦の情報を多く握り、政治的手腕や艦隊の指揮経験が豊富なジャミトフ・ハイマンが採用され、実戦経験を積むためにジュドー・アーシタ(リィナのみ料理担当)のシャングリラ組も組み込まれている。
そして地球連邦は大騒ぎとなる。
それはそうだろう。
地球に向かうネオ・ジオン軍の数は諜報戦で優位に立つ地球連邦は把握済みであったし、それに対抗しようと思えば地球連邦も可能である程度でしかない。ただ、厭戦感情が高まっていることや新しいMSの開発が終わり、整うまで戦闘を控え、和平(ネオ・ジオン的には降伏に見える)を方針としている。
しかし、全く情報にない艦隊……しかもハマーンの率いる軍よりも明らかに数も多く、旗艦と思しき艦のサイズもハマーンが乗る総旗艦サダラーンを軽く上回るのだから慌てても当然といえる。
そしてジャミトフはネオ・ジオン軍と合流――するのではなく、別ルートで地球を目指した。
合流して諍いが生じればお互い望まぬ展開を危惧することと未だに続くエゥーゴの……特にアーガマの妨害に対する囮となることで合意していた。
狙いは的中する。
ハマーンが率いる本隊のはずの艦隊とそれを上回る大軍のミソロギア艦隊、どちらが本命か地球連邦もエゥーゴもカラバも……そしてアナハイムすらもわからずにいた。
そして上層部の混乱は尖兵であり続けるアーガマにまで波及する。
上層部の意見がミソロギア艦隊への対処とネオ・ジオン軍への対処と真っ二つに分かれたのだ。
そしてその判断を下したのは捕捉できるギリギリになってからのことだった。
ネオ・ジオン軍に大事な妹を連れ去られたジュドーなどは待ち時間にブチ切れて大暴れして仲間達が頑張って取り押さえたりしたが……エゥーゴ上層部の判断はジュドーが望むハマーンの艦隊に向かうこととなった。
だが――
「艦長!間に合いません!」
上層部の迷いは取り返しのつかないものとなった。
アーガマがネオ・ジオン軍を捕捉した時には既に大気圏を突入してしまっていたのだ。
これによってエゥーゴ上層部の失態となり、地球連邦への取り込みが更に進むこととなった。