第四百三十二話
「レーダーに感あり!大気圏を突破してきたようです!これは――戦闘機です!数は40!機種は――不明!」
「40だと?!連邦か!ミノフスキー粒子は!」
「散布されていません!映像出します!」
「連邦……にしては系統が違いすぎるな。しかしジオン系ってわけでもない。一体どこの連中だ。いや、それどころじゃないな。全戦力で迎撃!非戦闘員は避難させろ!」
残党というのは見つかってしまえばそれほどの脅威ではない。
ゲリラ戦……戦時下でなければテロと言えるそれだからこそ脅威なのだ。攻めるに強くも守りは弱い。
それは指揮官もわかっていたが、逃げるにしても空を抑えられては満足に逃げることも叶わないため劣勢であっても戦わなければならないのだ。
「わかっているな。数で負けている以上は地の利を活かせ」
未知の兵器だが新兵器である以上は既存の兵器より普通は優れている――既得権益や開発者、責任者の暴走などで必ずとは言いづらいが――故に数も質も上回られているのなら熟知した地形を利用するしかない。
例え相手が航空戦力という効果が薄い相手であっても。
「地下へ引きずり込むことができればあるいは……」
彼らの基地は地下にあり、MSを運用することができるほどの空間が確保できている。というよりこのような事態を想定して選ばれた潜伏先である。
しかし――
「戦闘機からミサイルが――バンカーバスターの類です!ここに向かってきます!」
「ちっ、こっちの情報は筒抜けってことか」
バンカーバスターとは地中貫通爆弾や特殊貫通爆弾とも呼ばれ、名に地中貫通と付くだけあって地表で爆発するのではなく、防御設備を貫通して爆発を起こすものだ。
「迎撃だ!」
と指示するが、MS部隊や数少ない対空砲は指示するまでもなく迎撃行動に出ていた。
臨機応変と言えばいいのか、命令がある前から行動してしまう程度の練度でしかないと捉えるかは人それぞれだが、この場合はそれほど変わらない結果となっただろう。
「ミ、ミサイルが回避運動?!」
明らかにミサイルが弾幕を回避するその姿にオペレーターは悲鳴をあげる。
このミサイルはシルメリアが陸戦運用を前提としない、空中戦専用機であることから対地、特に地中に対して無力なため新たに開発されたバンカーバスターだ。
それにはサイコミュが搭載され、プルシリーズが遠隔操作を行っているのでこのようなことができるのだ。
「ちゃ、着弾まで後30!」
「総員衝撃に備えろ!!」
着弾したのは基地の中枢付近に着弾したのは20発。
さすがに風評に配慮して弾頭に核は使用していないため、威力は控えめ(アレン基準)ではあるもののピンポイントで狙われた爆撃は司令部を蒸発させるには十分な威力であった。