第四百五十九話
「説教臭くなったが、ここにいる間に後の身の振り方を考えておくといい。ただ、すぐに考える必要はない。これからはお前達の待遇に関して話す、とは言っても口で説明しても分かりづらいだろうから直接見に行くとしよう」
とちょうど食事が終わり、次へ進むことにする。
思念波でプルシリーズを呼び出してエルピー・プルも連れて来させる。
「今日は疲労もあるだろうから見学が終わった後は自由時間し、明日から本格的なデータ取りの予定だ」
「本当にいっぱいプルがいるわね」
先程から興味津々とプルシリーズが自然を装っているつもりでいるようだが全然装えていない立ち振舞ですれ違ったり、閉鎖空間を解消するためにクリアウィンドウからチラチラと視線を送っている。
ジュドー・アーシタ達は多数の視線に晒されて居心地が悪そうだが、興味が薄れるまでは我慢してもらう。
「船員のほとんどはプルシリーズだから当然だ」
「そのシリーズって呼び方なんとかなんないの。あんたが酷い扱いしてないっぽいことはあの娘達を様子からわかるけど、あんまりな呼び方よ」
「ふむ、一利あるか……ならばプル型で――」
「いいわけ無いでしょ!?むしろなんでいいと思ったのよ!」
「ではプルロット、は少し意味合いが――」
「だからなんでそんな商品みたいな――待って、まさかとは思うけど、あの娘達の名前って何なの?」
「今通り過ぎたのはプル1443、ウィンドウに張り付いてガン見しているのはプル1792、最後尾をついて護衛しているのがプル240――」
「やっぱり?!なんで数字なのよ!」
「ふむ、では数が万を超えたらアルファベットも混ぜ――」
「だからそういう問題じゃないって言ってんでしょうが!!」
「では真面目に答えるが、名前というのは個体識別が主な理由なのだがそれが結構曲者だ。呼ばれ続けるため、親や親族は真剣に考えて命名する。それはいいことだとは思う。となるとプルシリーズの親は私となるが……全員に名前をつけるなどなかなかな労力だ。最初の方はいいとしても段々と似た名前をつけざるを得なくなる。そうなるとクローンという性質上、名が似ているというだけで諍いになる可能性が高い。それにつけられた名前で差別される可能性も捨てきれない。それならナンバリングの方がいいだろうということで落ち着いた」
「う~ん、わからなくはないけど……なんかもやもやする!」
「更に言うとナンバリング由来の愛称も禁止している」
「あー、うん。嫌な語呂合わせとかありそうよね」
今の数なら一々躾するということもできなくはないかもしれないが、これ以上増えると不可能か毎日躾する日々を送らなくてはならなくなる。なんと無駄な日々か。