第四百六十八話
コンペイトウから出撃したのはラーディッシュ級が3隻にサラミス級8隻と宇宙要塞の駐屯軍にしては数が少なく、しかもラーディッシュ級に関しては2隻が小破、1隻中破しており、明らかに敗残兵のそれである。
エゥーゴはティターンズとの決戦で辛勝したが、あまりにも辛勝が過ぎた。
そしてコンペイトウに籠もるエゥーゴは船頭を失い難破している現状では艦艇を修理するのは後回しにされてしまった。
なぜなら行動指針が立たないが、ティターンズ残党に味方だったが今はどう判断したらいいか迷うネオ・ジオンがいる以上、防衛戦力が必要で、その防衛戦力としては艦艇よりもMSの充実を優先されたのだ。
その成果がリック・ディアスやメタス、ネモ、ジムII、ジムIIIなどから始まり、決戦に完成が間に合わなかった百式改、量産型百式、メタス改、が少数。
ティターンズから奪ったハイザック、バーザム、マラサイ、ジム・クゥエル、後は少数ながらハンブラビ、ガブスレイ、試験機として配備されていた量産型サイコガンダム。
ティターンズ残党は連邦としても厄介な存在だと判断され供与されたリ・ガズィ。
そして、応急処置として別の機体のパーツで補われて既に原型がわからないキメラのようなMS。
まるで現行MS博覧会のような様相であり、その数は500を超える。
「では全機出撃、攻めるのはキュベレイ・ストラティオティスパノプリア装備2機を先頭に8機を随伴、レナスも10機付けて――」
『「緊急回避!」』
未来予知班と観測班のその声は思念波も乗り、艦内に観測したとこれから対応する未来を映し出して共有、そしてプルシリーズは即座に態勢を整え――そして、母艦級が大きくスライドした直後、ビームが通り過ぎる。
「メガランチャーによる狙撃です。このままですと3分後に再発射されます」
ちなみにエゥーゴの方針はメガランチャーのアウトレンジから艦艇を一方的に狙撃することで安全圏を狭め、艦隊をコンペイトウの防衛網に引き摺り込むか、MS部隊との距離を取らせるというものだ。
もちろんメガランチャーで仕留められたならそれでよかった……のだがまさか初撃を外すならともかく、正確に回避されるとは思いもしなかったが。
「わかった。時間になる頃に報告を頼む。指示は復唱しない!各員の健闘を祈る!」