第四百七十七話
コンペイトウの制圧は重要施設から抑えたことで1つの成果を得た。
それは大小様々な製造設備を無傷で確保したことだ。
特に兵器に使われる装甲やフレーム材などの金属精錬設備はありがたい。
今まで連邦系の金属は素材や製造方法などはわかっていたが、製造設備に関しては多数の企業に分けて発注されていたため、それを追うのは面倒な上にジオン系列のもので問題もなかったので後回しにしていた。
しかしこれで連邦系の金属が生産できる……なら良かったが、ジオン系に使われていない素材があってミソロギアでは研究用程度にしか確保していないものがあり、大量生産には到底足りないのだ。
改めて確保に動かなければならない。
そして今のミソロギアの主な取引相手はネオ・ジオンしかおらず、そしてネオ・ジオンはジオン系であるためその素材は豊富ではない。
「今は地球の企業に渡りをつけているが、その資源は確保そのものよりも宇宙へ持ち出しを規制されて難しいようだ」
ジャミトフに調達を頼んだが、どうやら事は簡単に進まないらしい。
「となると確保は頼んで私達が運ぶか……しかし、シルメリアを使って輸送するのは非効率だ。HLVでも生産するか」
「あれは長距離航行ができんから大気圏離脱後は母艦級に載せ替えて往復させることになるぞ」
「大気圏での活動は母艦級2隻編成を崩したくない。となると新たに母艦級が必要な上にまた戦力を分散させることになるか……仕方ない。当面は諦めるとするか」
「それが賢明だろう。それほど切迫したものではないのだろう?」
「そうだな」
ただ手に入れたから量産できるようにしておきたかっただけだ。
「それに当面の生産分はコンペイトウの備蓄でどうにかなると聞いているが」
「その通りだ」
「ならミソロギア2の補強に専念すべきだ」
「コンペイトウが来るまでまだしばらくあるから大丈夫だ」
「我々の立ち位置は微妙なものだ。もしかするとコンペイトウと合流する前に移動せねばならない事態が起こらないとも言えないぞプル達の教育として任せるのもいいが、最低限戦闘から離脱できるぐらいの速度で移動できるようには急いでしておくべきだ」
「わかった。ならパパっと終わらせておくか」
「ところで……大気圏で待機しているプル達に問題はないか」
「心配しなくとも今のところはフィジカル、メンタルともに異常なしだ」
「そうか」
ジャミトフはプルシリーズを兵士として扱っているにも関わらず、可愛がっているので長期任務となる気にしているようだ。
まだ1ヶ月も経っていないのだから上位、中位がほとんどの大気圏組でその心配は必要ないと思うがな。