第四百七十九話
コンペイトウの捕虜の引き渡しはコンペイトウでネオ・ジオンの立会の下、連邦に直接引き渡される形になるようだ。
ハマーン閣下はどうやら捕虜達へ私刑を行い、殺害してしまう可能性があり、せっかく有利に事を運ぶことができそうであるのに阻害されることを考慮した結果、ネオ・ジオンに引き取りをせず、直接連邦へ引き渡されることになった。
殺し合いをしていた者同士なのだからその危惧は考え過ぎとは思わない。
「問題は連邦が絡むと時間が掛かることだな」
巨大な役所である地球連邦である以上、お役所仕事は当たり前で、何をするにも時間が掛かる。
しかも、この捕虜達はエゥーゴがほとんどではあるが、ティターンズ残党にジオン残党まで混ざっている。
エゥーゴに関しては所属は地球連邦で、派閥争いの一応の勝者であるため問題はないが、派閥争いに敗北した上に今まで好き勝手していたティターンズの残党、ジオン公国がなくなっても武力行使を続けてきたテロリストのジオン残党の取り扱いについてもめないわけがない。
こちらとしてはどう扱おうがどうでもいいからとっとと引き取ってもらいたいのだ。
スクラップの回収など利が無い訳では無いが、世話をする手間とトラブルの方が多い。
部屋が狭い、食事が少ない不味い、暇だなどクレームに等しいことは無視すればいいが、問題は捕虜同士が度々喧嘩をすることが1番の問題だ。
戦闘が終わった後の暴力は問題になりかねないと穏便に終わらせるように苦慮しているが……まぁニュータイプは分かり合える存在なんて言う輩がいるらしいが、分かり合えても譲れない思想や感情がある以上、分かり合えても衝突はするものだ。
つまり、ニュータイプの私達でも喧嘩を穏便に終わらせること容易にはできない。
「というわけで、問題を起こした者達はコールドスリープさせることに決定した」
冷凍保存しておけば問題も起こさない、食料も減らない、空気も汚れない、部屋も広くなる。全てが解決だ。
辺境へ引っ越しの際に使う可能性を考えて開発していたのは幸いだったな。
今まで甘い対応をしてきた私達を舐めている捕虜達はなにかの冗談だろうと真に受けず、すぐにトラブルを起こした。ちなみに原因は、好物を最後まで残していたのを食べたという子供か、とついツッコミをいれてしまうような内容だったが、見せしめにちょうどいいと冷凍する瞬間を生放送してみたらトラブルはグッと減り、従順になった。
やはり恐怖による統制は楽でいいな。