第四百八十七話
「捕虜引き渡しの話が進んだのはめでたいな。コンペイトウのプルシリーズの負担も少しは和らぐだろう」
「早く合流してあげたいですね。後発組は若いプルちゃんが多いって聞いていますから」
ジャミトフにしろスミレにしろやっと心配事の1つが解決するとホッとしているようだ。
急増させたプルシリーズも実地訓練と派遣しているので心配はわからなくはない。
私も人形に割いているリソースを減らすことができる。
「しかし、まさか我々以外に時渡りをしている者がいるとは思わなかったな」
「ええ。でもアムロ・レイとシャア大佐の2人というのはちょっと納得です」
「一年戦争から続く因縁か、前の世界では共にエゥーゴで活動していたが、時渡りしてきたアムロ・レイもシャア・アズナブルはどちらも敵対状態だったようだが……戦場とは色々起こるものだな」
前の世界で起こったララァ・スンの具現化を思い浮かべる。
……そういえばアムロ・レイはこの世界に2人いるんだったな。
彼らはあの現象を引き起こすことができるのだろうか、できれば確保したいが両方共に連邦の支配下か。
しかも時渡りしてきたアムロは人権がない存在のため、ニュータイプ研究所でモルモット扱いされているようだ。
その成果もあり、サイコミュの研究が随分進んでいるようではあるが、ジオン系にしろ連邦系にしろ効率が悪いやり方をしている。ただし、ララァ・スンの具現化を再現できるかどうかわからない状態でもある。まぁどのような条件下で具現化できるのか全く未知の段階なので正確には何一つわからないのだが。
それに合わせて新しいMS開発もされているようでちょっと期待している。現行のMSは既知ばかりでつまらないものだ。
もっとも開発、研究共に外部との繋がりが断たれているようで場所や機体の情報は手に入らず、その計画そのものしか知ることが出来なかったが……これでνガンダムだったりだと残念だな。
シャアの話によればνガンダムが連邦の手に渡っているようなのでνガンダムそのものではないだろうが、発展型のHi-νガンダムも既知なので別の物を期待だ。
「アレンはシャアと接触はしないのか」
「気にならなくはないが、私も立て込んでいるし、当面はハマーン閣下に対応を任せる。あまり私達が介入するのも良くないだろうしな」
「今更だと思いますけど、確かに今忙しいですからね。未来予測システムの精度も上げなくちゃいけないし」
「安全な時渡り実現には必須だろう。よろしく頼む」
「うっ、プ、プレッシャーが……」
「それほど緊張する必要はない。プルシリーズが何十体か死ぬかもしれないだけだ」
「それがプレッシャーなんですよ?!」