第四百九十一話
プルシリーズからあるプランが提案された。
それは『地球資源採取計画』である。
内容は題の通りで、地球で資源を採取するというものだ。
このぐらいのことは私達が考えていないわけがないのだが、細部が違っていた。
色々取り繕った書き方をしているが簡単にまとめると――『私達で地球を探索したい!』――ということだ。
確かに多少は要望を聞いてはいたが、それは要望を聞くという性質上、『既知の物』を手に入れることはできたとしても『未知の物』を手に入れることができないという意味でもある。自分の手で何かを探したいという欲求は理解できた。
地球資源の採取はコスト面を考えれば自分達で行うのは割に合わないのだが、そういう事情なら採算度外視でも問題ない。プルシリーズの成長は多少の資源損失などよりも価値がある。
「というわけで引率を頼む」
「地球を案内するなら私が適任かもしれんが……留守にして大丈夫なのか」
地球連邦の重鎮だったジャミトフなら地球のことも知っているだろうし、特権階級で知らない可能性もあるが、ジャミトフには側近達もいるのだから補足するだろう。
「こちらは問題ない。最悪、力でねじ伏せることができるのだから気楽なものだ。しかし、地球に赴くとなるとそうはいかないだろう」
地球に関しては知識としては多く知っている。
しかし、問題は地球に住む者にとっては当然であるとされる知識までは補完できていない可能性が高い。誰も当たり前だと思うことは形として残そうとは思わないものなのだから。
「しかし、人口密度が低い場所を選んでいるとはいえ地球1周を繰り返し何度もというのは難しいのではないか」
ミソロギアに配置されているプルシリーズはともかくとして、大気圏で待機している者に差をつけると禍根になりかねないので交代で全員地球巡りをさせることにした。
ちなみに地球1周にしたのはただ単に私が行ってみたいだけである。無論同行するのは人形だ。
移動方法はガルダ級を使い、大気圏ではいつでも救助できるように母艦級を付ける。
この戦力なら連邦と決戦になったところで負けはしないだろう。もっともその場合は旅行組が無事でいられるかどうかは別だが話だが。
「ネオ・ジオンには連絡をしたか」
「ハマーン閣下に話は通した。話を聞いて呆れていたが、な」
「それはそうだろう。この緊張状態でこんな理由で軍を動かすなど私なら怒鳴り散らしているところだ。ハマーン閣下は寛大だな」
「ジオン残党をまとめるためにはそうならざるを得なかったのだろうな」