第四百九十八話
時渡りを前提とした場合、万が一に備えて戦力拡充と資源収集は基本となる。
「しかし、短期的過ぎて当初の予定だった輸入に頼っているだけでは効率が悪いな。特に宇宙で手に入る資源はともかく、地球産出資源は」
ネオ・ジオンや企業を通じて輸入を始めたのは最近のことでその総量はあまり多くない。
そもそもネオ・ジオンも地球産出資源を必要としているし、企業との信頼関係などないため卸される量にも限りがある。
「なら私達で直接取りに行く?手間も掛かるし採算が合わないから見送ってたけど幸いコンペイトウにはたっぷり推進剤があったのだから多少の無理をしても問題ないはずよ」
ハマーンが以前ボツとした案を持ち出してきたが、確かにあの時とは状況が違い、燃費の悪いミソロギアの主力兵器が使っても余りあるほどの推進剤がコンペイトウにはある。それを使って別の資源を獲得するのは悪い手ではないか。
もっとも連邦は当然として、連邦と表立っては友好を築こうとしているネオ・ジオンにも無許可で採掘や採取をすることになるが……ミソロギアのステルス技術を試すにも丁度いい機会か。
「よし、地球に降りているジャミトフ達の予定変更して予定地の策定させる」
私達の規模なら、商売が目的ではないため通常の企業では採算の合わないと放棄され鉱山など狙い目だろう。そう言った情報はジャミトフ達が持っているので手間も少ないはずだ。
それに採掘機などは元々辺境に移動した後に使う予定だったものがあるので地球に使うように調整するのはそう手間ではない。
ああ、手に入れた輸送に一々母艦級を使うのは面倒なのでマスドライバーも作るとするか。確かコンペイトウのデータベースにあったはずだからコンペイトウでの製造が可能だ。
コンペイトウの生産ラインは自動化されているので楽だな。ミソロギアの生産ラインは重要部品であればあるほど自動化されていない、私自らの手作りだからな。もっともそのおかげで高性能を実現しているのだからどうしようもないが。
話が逸れたな。
宇宙間の輸送方法はこれでいいとして――
「後は可能な限りHLVのステルス性能高めて目立たないようにするだけか」
推進剤のことを考えなければ思った以上に手間が少ないな。
手っ取り早いのはミノフスキー粒子をばら撒くことだが、HLVそのものは観測されないかもしれないがミノフスキー粒子そのものを観測され、何もしないより目立つことになるだろう。
「HLVの打ち上げなんて見つかると思うんだけど?」
「幸い宇宙は私達が抑えているから人工衛星が使えないのだからどうとでもなる」
「まぁアレンがそういうならできるんでしょうけど……あまり無理しちゃだめよ。身体を改造したところで無理が毒なのは変わりないんだから。山場なのはわかっているけど」
「……ああ、気をつける」
「と言っても研究のこととなったらスポーンッと忘れちゃうんでしょうけどね」
「否定のしようがないな」