第五百一話
というわけで量産型試作機完成した。
まぁ本体はキュベレイ・ストラティオティスからIフィールド発生装置を降ろし、フレキシブル・バインダーを外して肩の前後にビームシールド発生装置をつけたアームを付けただけなのでそれほど手間ではなかった。
「…………やはり目立つな」
Iフィールド同様、全方位を防御するように全身を覆うようにビームシールドを展開させたところ、非常に目立つ。ステルス性が0だ。
これだけ視覚的にも熱源的にも目立てば戦闘濃度のミノフスキー粒子下でもセンサーに引っかかる可能性が……うん、引っかかるな。
となると戦闘濃度のミノフスキー粒子下で誘導兵器が使えることになるわけだ。しかもこちらが使えない。
そしてビームシールドはビームだけでなく、実体弾を防げるメリットはあるものの防いだらビームやそれを形成しているIフィールドが拡散してしまうため誘導ミサイルは厄介だ。
もちろんプルシリーズなら連続でミサイルに当たることなど多くはないだろうとは思っているが、今となってはミソロギアはコロニーが2基、コンペイトウ、出陣していれば母艦級など守る対象が増えたことで戦力の集中運用が難しくなっている。
プルシリーズが増えたとは言っても別世界に行くことを想定するとまだ数が足りない可能性もあるので質を求めるべきだろう。
だからこそ実績があるIフィールド発生装置を切って、まだ必要のないビームシールドを取り入れようと試みたのだ。
「運動性は上がっているのだがな」
フレキシブル・バインダーを外したことでスラスターが減ったものの運動性能が落ちるところだが、Iフィールド発生装置の重量とフレキシブル・バインダーの重量がなくなったことで逆に向上した。
「……改めて見るとキュベレイのフレキシブル・バインダーを外したらデザイン的に微妙になるな」
私としてはデザインは2の次なのだが、乗るであろうハマーンやプルシリーズからクレームが来るので代わりに何かデザインを考えておかないと出来上がったのに誰も乗らないなんていうマヌケな光景が脳裏に描かれる……そんな未来予知しなくていいぞ。私のニュータイプ能力よ。
「デザインは最後にするとして、うーん……いっそ全方位対応にはせず……いや、守備力を落としては本末転倒」
んー……外がだめなら――
「中、か」。