第五百四話
「ストラティオティスの後継機よりもレナスとシルメリアの品質が向上したな」
レナス同士の模擬戦を眺め――
「明らかに模擬戦の時間が伸びたな」
ビームライフルを撃ってはビームシールドで防いでビームシールドの一部が弾け飛び、お返しとビームライフルを撃てばやはりビームシールドで防ぐとこちらも一部が弾け飛ぶという戦い
考えていた通り、MDとビームシールドの相性がいい。
低コストで軽量かつ防御性能の向上、使い捨てできる戦力であるため隠密行動の際にシールドを展開しなくてもリスクがない、製造は生産担当のプルシリーズが、装着は自動化できるという手間の無さとメリットしかない。
なのでミソロギアとコンペイトウに配備されているレナスは順次実装中だ。大気圏駐屯中の母艦級のレナスは未実装だ。
本格的に戦争状態でない以上は、資源の消耗よりも技術の秘匿を優先することにした。
未来から来たアムロとシャアが乗っていたのはνガンダムとサザビーという話だったことを考えれば私達の世界ではHi-νガンダムやナイチンゲールが最新鋭機だったにも関わらず、ビームシールドが試作品が実戦投入されたレベルの技術ということから分かる通り、おそらくビームシールドという存在は研究段階か、発想すらない可能性まである。
ならわざわざ窮していない現状で新しい技術を見せる必要もないと判断した。
それに――
「コスト度外視すればビームシールドを貫通する実弾も用意できるからな」
方法は新技術は必要なく、至極単純で弾にビームコーティングを重ね塗りするというものだ。
これによりビームシールドは無効化……厳密にはビームの圧によって弾道が変化するが……して貫通することができる。
もっともその重ね塗りの層は10を超える関係で現在連邦やネオ・ジオンが使用している弾薬にそれを施すと通常弾の威力をそのままとするなら弾薬が大きくなり、銃の口径を変更するか弾薬の威力を落とさざるを得ない上に、1発1発にビームコーティングなどふざけたコストが掛かり、更にはレナスに命中させるとなるとその消費量となるとネオ・ジオンはまず間違いなく用意できないだろう。連邦といえどもさすがに戦時ならいざしらず平時では躊躇するほどのコストになり、そもそも実弾は私達の脅威にならないので警戒し過ぎかもしれないが。
「しかし、趣味でレナスのデザインだが……変更するか?」
前の世界にいる頃は時渡りなんてものを想定しているはずもなく、効率など重視しなくても仮想敵の技術や戦力というのは予想ができていたこともあって趣味に走ったところで負ける気などなかった。強いて言えばプルシリーズが多少被害が出るかもしれないと考える程度だった。
だが時渡りを行うことを前提としたら趣味はただの非効率となり、それが要因で敗北となっては目も当てられない。
今考えているのはレナスに変形機構――いや、移動時に使うのではなく、待機に使うので待機形態というべきか――を真四角になるようにしようと考えている。
こうすることによって人型よりも格納機数が増える。コロニーやコンペイトウなどは現状気にしなくてもいいがMD艦や母艦級の積載機数が増えることになるだろう。
まぁ、出撃時に無防備になる時間が生まれるので良し悪しではあるのだが。