第五百八話
「くそっ!また負けた!!」
「ふっふっふ。これが謂わば年の功ってやつだな!」
悔しがるのは年下ジュドー、ドヤ顔をしているのが年上ジュドー。
ちなみに2戦目まではこれが逆だった。
1戦目は年上ジュドーが嘗めていたということもあって年下ジュドーが攻撃を躱し切って余裕で勝ち、2戦目は本気になった年上ジュドーが詰めるが年下ジュドーが辛勝。
その後はプル……あえてプル1というが、プル1同士の戦いを見学したが、それは一方的な戦いだった。
もちろん圧勝したのは私のプル1だ。
まず操れるファンネルの数が倍以上違うし、そもそもミソロギアのサイコミュはこの世界のネオ・ジオンが使っているサイコミュとは既に別系統と言っていいほど違いがあるためこの世界のプル1とは熟練度が違う。更にはさすがにキュベレイmk-IIとかいうキュベレイと大して変わらず何がmk-IIなにか疑問に思うような機体で、ミソロギアでは既に旧式と言ってもいいキュベレイと同等のものとキュベレイ・ストラティオティスでは相手にならない。
となると機体を合わせる必要があったので今更旧式はどうかと思うし、厳密なキュベレイmk-IIを再現できるわけでもないのでキュベレイ・ストラティオティスで統一したことからこの世界のプル1には不利なわけだ。
もっともこのシミュレータ戦を想定して母艦級の中でもキュベレイ・ストラティオティスを操縦させていたので少しはマシになっていたが、それは付け焼き刃だ。
始めから私のプル1と肉体的スペックも大きく違うという話をすればそれまでだが。
それはともかく、この戦いを見た年上ジュドーはあることに気づいたようで、再び年下ジュドーと再戦。その結果は苦戦したものの危なげなく年上ジュドーの勝利となった。
「多少実戦経験があってもプル達より強いってことはないんだよな」
つまり、年上ジュドーが多く戦ってきたのはプル達で、その次はシミュレータではシャアやガトー、シリウスなどのエースや準エースのデータばかりと戦っている。そうなると自然と上手い相手との戦い方を覚えるわけだが、年下ジュドーの戦い方は訓練を受けておらず、実戦経験しかしていない素人であるため独特で戦いにくい上にニュータイプ能力によって察知能力が優れているため戦いにくさに拍車を掛ける。
だが、冷静に考えて戦えれば年上ジュドーは負けることはなかった。基本スペックそのものは年上ジュドーが上回り、シミュレータの経験も上なのだから。
まぁ連勝した年下ジュドーが調子に乗って動きが荒くなっていたのもあるがな。
「負けたままで終われるか!もう1回だ!」
「ああ、受けて立つぜ!」
プル1達は3度やれば飽きてやめたのに対してダブルジュドーは対抗心からかやめる気配がない。これ以上のライバルはいないのだからそうかもしれないが、これはいい効果が期待できるな。