第五百九話
「おぉ、本当にコロニー丸々個人の所有物なんだな。しかも2基も……売ったらいくらになるかな」
「どこを見てもプルさん達ばかりですね」
「偶に違う人がいるけど、本当に私がいっぱいだ……変な感じ」
「でも普通に生活してるわね」
ジュドー達はミソロギアの本拠地であるコロニーを巡る観光客となっていた。
道案内はプル1である。
「生まれはともかく人なんだから普通に生活するに決まってるでしょー」
「そりゃそうだな。今のはエルが悪いぞ」
「ごめん」
「ま、それが外の普通だから仕方ないのはわかるんだけどね。つまらない話はこれぐらいにしてどこ行こうかな。やっぱりトレーニング施設とか?肉体系?ニュータイプ系?どっちがいい?」
「やっぱり普通じゃない?!」
「冗談だよ。冗談。さすがに母艦級の施設ならともかくここの施設はダメだってアレンパパに言われてるから」
「そもそも希望してないし!」
「あ、あそこがいいかも」
「こいつ、プルよりも自由な性格してやがる」
色々と言っているジュドー一行をガン無視して歩き出し、慌ててそれを追いかけ――たどり着いたのは――
「何、ここ?」
そこは多くのベッドが並び、横たわる人間はヘルメットを被っているという異様な光景。
「ここは私達が、って言ってもナンバー2桁前半は使ったことないんだけど、生まれてからすぐ基礎を学習する場所だね」
「学習って、あれで勉強できるの?!」
「それにより生まれてすぐって、どう見てもプルとそう変わらないぞ」
「……あ、そっか、普通はシロー達の子供みたいに生まれるんだったね。私達はあれぐらいの大きさで生まれてきて、赤ちゃんだっけ?その期間はないよ」
「そう、なんですか」
「元々私達は使い捨てできるニュータイプ兵士として開発されたから促成栽培ができるようになっているの」
「そんなことって……」
「勘違いしないで。それは事実だけど私達は使い捨てにされているわけじゃない。だって前の世界から今までで私達が死んだのは1人しかいなんだからね」
「え、確か前の世界でも戦争をしてたんじゃなかったのか?それにアレンが世界を相手に喧嘩を売ったって言ってたよな」
「正解!他にもコロニーの警備なんかもしてたけどね」
「まぁお前達の強さを考えればなくはない、のか?」
今まで見てきたミソロギアの強さを思い出してジュドーは半ば納得するが――
「今の戦力は前の世界にいる時より弱くなってるんだけどね」
「は?」
「この世界に来る時にほとんどのMSのサイコミュが壊れちゃって、ジュドー達が見たことある機体はわかりやすく言うと量産機なんだよ。私とか上位の子達は専用機がないから実力の半分ぐらいしか出せないの」
「……もしかして世界征服とか、本当にできたりするのか?」
「わかんないよ。でも私達はあまり知識がないけど政治って難しいんでしょ?というか私達にそれは向いてないと思うから多分そんなことしないよ。アレンパパも今だって組織運営より研究がしたいはずだしね」