第五百十二話
「ネオ・ジオンと連邦の戦いは避けられそうにないな」
量産型νガンダムと名付けられている通り量産を始め、更にジェガンのバリエーション機が生産を始めたようだ。
そのバリエーション機の名は高機動型ジェガンとスタークジェガンという、その名の通り機動力を高めたジェガンとその高機動型ジェガンに長距離支援用の武装を追加したものがスタークジェガン。
更には衰退中のエゥーゴとカラバにジェガンや払い下げのジムIII、ティターンズの遺産であるジム・クゥエルなどを譲渡しているのを確認している。
まだ勢力を維持しているカラバはともかく、ほぼ壊滅状態であるエゥーゴにも渡しているのはネオ・ジオンとの戦いで使い潰し、その後に吸収しようと思ってのことだろう。
「そういえば、そろそろ1度ジュドー・アーシタ達に連絡させておくべきか」
エゥーゴへの配慮はともかく、ジュドー・アーシタ達の心情を考慮して愉快な仲間たちへ連絡をさせるとしよう――
「カ、カミーユさんがいる?!ファさんも?!それに意識がちゃんとある!しかもハーレムまで作っちゃってるし?!」
とジュドー・アーシタ達の近くにいたアレン人形を起動させるとそんな声が聞こえてきた。
そういえばジュドー・アーシタ達はこの世界のカミーユと面識があったのだったな。しかも精神疾患によって言動すら覚束ない状態だったか、そんな人物が元気で女を囲っているのだから驚いても不思議ではない。
戦うために作られた強化人間は死に、一般人上がりのファが生き残っているというのは皮肉なものだな。いや、むしろ正しいあり方か。
「この頃にはまだジュドー達と面識がなかったはずだけどアーガマに乗ってたらしいし、その関係か?」
「ああ、少しの間だったけど一緒に乗ってたけど……こっちのカミーユさんはほとんど寝たきりで、普通の会話するのも難しかったんだぜ。それをファさんが介護してたんだ」
「そうか、ファが」
「でもそっちの2人は知らないんだよなぁ。もしかしてファさんに刺された?」
「私がそんなことするわけないじゃない?!」
「ファならありえるわね……もちろん冗談よ。だからそんなに睨まないで」
フォウが茶化すがファに睨まれ、すぐに白旗をあげる。
「この世界のフォウとロザミアの2人なら既に亡くなっているぞ。どちらも戦死だ」
フォウはともかく、ロザミアはカミーユの手によって殺されているので話さないでおくとしよう。未だに不安定なロザミアに不安定になるようなことを言う必要はないだろう。幸いこれは私しか知らないことなのだし。