第五百十九話
今回の派遣にレナス以外のMSは護衛として最小限とすることにした。
反乱軍はプルシリーズの投入に際し、キュベレイを量産して配備していることを確認している。
色々と違いはあるが、キュベレイ・ストラティオティスとシルエットだけは似ていないではない。万が一にもハマーン閣下の軍から攻撃されては面倒なことになる。全て撃破していいというなら問題ないが。
そしてビームシールドは未搭載とすることにした。
消耗しても資源を補填できるこの世界では技術の漏洩の方が重要だ。
「それにしても反乱というのはオールドタイプにとっては面倒で仕方ないな」
反乱が起こるということは内部分裂している。そして100%スパイが存在し、その上、スパイではないがこの機会に主流派閥の力を削ごうとする者達までいる。
そのため疑心暗鬼が広がり、動きが重い。
幸いなのはハマーン閣下がニュータイプの訓練を真剣に取り組んでいたことで側近の感情が読み取れるようになり、疑わずに使うことができることだろう。
そうでなければ前の世界のように私達に頼っていたかもしれない。まぁそれでもいいが、同じことを繰り返してもあまり面白くはない。
「しかし、それで出撃準備が遅れているのはもっと面白くないな」
ハマーン閣下が予定していた時期はもう過ぎているにも関わらず準備が完了していない。
反面、反乱軍は残党軍を吸収して戦力拡大中だ。もっともそれも限界が近いだろう。
戦力が増えれば兵站も増大するの必然だ。そしてその兵站を支える基礎が反乱軍にあるわけがない。
つまり、消費が増える一方で補給ができないのだ。
「となるとそろそろ本格的にコロニー落としを開始するかな」
核パルスエンジン
さすがにコロニー落としが成功してしまうと困るので――
「とりあえずコロニーを動かして予測落下コースに砲口を向けておくとしよう」
ハマーン閣下が万が一間に合わなければサクッとコロニーレーザーで消滅させるつもりだ。
時渡り準備の一環としてコロニーレーザーの発射間隔を短くすることに成功している。
1射では難しいかもしれないが2射すればキレイ消え去るだろう。
本当は多少騒ぎがあった方が我々のような存在には隠れ蓑になっていいのだがコロニー落としを放置して成功すれば資源採取に影響が出るだろうし、阻止する力があることがバレた場合世論が動いてまた決戦という流れになるかもしれない。ある程度表で功績を手に入れておけば発言力が増すだろう。
決してコロニーレーザーで脅すわけではないぞ。