第五百三十二話
「真打ちは遅れてくるもんだよ!そこを退きな!!いや、消えな!!」
激戦だというのに膠着状態であったマシュマー、イリア、親衛隊とラカン、スペースウルフ隊との戦いに新たに参加者が現れた。
ジオングを思わせる指から放たれるメガ粒子砲に腕部の側面に内蔵されているグレネードランチャー、胸部からは百式のメガ・バズーカ・ランチャーを上回るハイパーメガ粒子砲とその左右と股間部、脚部からメガ粒子砲、肩部からはビームと身体中から迸らせ、更にはファンネルまで展開するという前代未聞の火力を披露する。
その機体はゲーマルク、そして操るのは強化処置を施されたキャラ・スーンである。
「キャラ様。ゲーマルクの調整は終わったばかりです。お気をつけください」
「わかっている!」
ゲーマルクはこの討伐にギリギリロールアウトされたため、機体調整は進軍中に行っていたが、それでも間に合わず、少し遅れて出撃することになったのだ。
その上ゲーマルクは火力はともかく、機動力量産機と同等であり、素早く前線へ、とはいかなかったのだ。
しかし、その遅れが結果として功を奏した。
火力支援機に近いゲーマルクに乱戦には向かない。それ故、後から到着したなら外から支援することは容易いのだ。
それを証拠に出会い頭の一斉射でスペースウルフ隊を2機撃破することに成功している。
もっともこの2機は本当の意味でのスペースウルフ隊ではなく、半数が人事異動、そして監視下に置かれたことで合流できず、仕方なく補充した人員である。
腕こそ悪くなかったが、悪くないだけであってエース部隊に所属するには不十分な存在だった。
しかし、そんな存在でも膠着……つまり拮抗している状態で数が減り、逆にキャラが加わることで戦況は大きく変化する。
「くっ、後退しつつ立て直すぞ!他の部隊を回せ!」
「退くか?!皆のもの私に続け!!」
形勢が不利と見て一時後退を指示するラカンとこれを機と判断して勢いづくマシュマー。
しかし、一時後退を指示したラカンだが、大きく後退することができない。マシュマー達とハマーンが合流を許してしまうとハマーンを討つ絶好の機会が潰れてしまうからだ。
だからゆっくりゆっくり後退してなんとか援軍が来るまで時間を稼ぐことに専念する。