第五百六十三話
「愚か者の思考は理解に苦しむ」
連邦軍が地上の資源採掘基地に攻撃を仕掛けるようだ。
「そういえば主導する者が今はいないのだったか」
思い返せば前の世界では地球連邦はシャア達がまとめていたが……奴らがまとめなければ地球連邦はあれ以上に酷いものだったりするのだろうか……ありえるな。むしろこの世界が実証してくれているといえるな。
「如何致しますか。増援を送りますか」
「現地戦力でも問題ないとは思うが……」
「ガルダ級の防衛戦力を増加させるべきだと思います」
「ふむ……なるほど」
プルツーの危惧は把握した。
資源採取基地の防衛は母艦級とガルダ級の戦力を投入する予定で組まれているが、連邦軍は数が多い。
母艦級はフル編成で大気圏に駐留しているが、宇宙はネオ・ジオンのテリトリーである以上、連邦軍は迂闊に動くことはない。なので防衛戦力として投入しても不安はない。
問題は大気圏内で最も防衛戦力が乏しいガルダ級だ。
資源輸送は一年戦争の遺産を集めてリサイクルしたミデアやファットアンクルに役割を移し、ガルダ級はそれらの護衛としてシルメリア15機搭載しているのだが、基地の防衛に割り当てればガルダ級や輸送機の防衛は当然手薄になるし、輸送機は護衛抜きに行動させるのは危険で効率が落ちる。
それに加えてこれからは散発的に襲われることになるはずだ。ネオ・ジオンは内乱で力と威信を落としたことで連邦軍は積極的に動くだろうからな。
とはいえ緊急時に回収が手間な大気圏内に数は置きたくないのだが……仕方ない。
「各基地にシルメリアを追加配置し、輸送機の一部を母艦化して護衛とする。ガルダ級は遊撃戦力化させる」
「数はいかほどに」
「それは――……上位ナンバーで検討して決めるように」
「了解しました」
今まで戦力の配置は私かジャミトフが決めていたが、コロニー2基にコンペイトウ、簡易とはいえ基地10箇所と随分と活動範囲を広げた。
まだ私達だけで問題はないが、私もジャミトフも仕事の範囲が広すぎて何か不測の事態で私達が指示できない場合、ミソロギアは機能不全に陥るだろう。
内政面は既にある程度固まっているので混乱はするだろうがマニュアルさえ整えておけば問題は起きないはずだ。
しかし、軍事に関しては生産、物資配分、編成、配置など携わる部分が多岐にわたり、何より失敗は命に関わるため、なかなか経験を積むことが難しいので今回はいい経験となるだろう。