第五百六十五話
「アレンの方針で私は口を出さん。後始末は私達がするので好きに動けばいい」
「お言葉に甘えます。ジャミトフさん」
「若い者の片付けは年長者の務めだ。気にすることはない。健闘を祈る」
「ではこれより作戦を開始する!本艦のシルメリア全機出撃!」
本艦というのは母艦級だけではなく、付属されたMD艦を含む。
大気圏で駐留しているMD艦の積載機は宇宙からの攻撃を視野に入れずに全機大気圏内用のシルメリアで統一されている。
その数は40機。
それらが今、青き地球へと降り注ぐ。
「ガルダ級と基地防衛部隊の半数と合流後、連邦軍を煽りに行く」
アレンの規格外な能力で裏表両方の情報を掴んでいるとは言え、攻撃されたわけではない。問答無用に攻撃すれば批難を受けることとなる。
その程度アレンにとって些末なことではあるが、大気圏内の基地はともかく、手に入れたコンペイトウと合流できておらず、その状態で本格的な緊張状態に陥るのは負けずとも面倒なことである。
それに下手に悪名を広げれば今のネオ・ジオンはミソロギアを切り捨てる可能性も出てくる。そもそも得体のしれない組織、しかし技術力はあることまでは知れている。ならそれを自分達が手にしようと動くのも自然のことだ。
今はハマーンの直轄という体で抑えているが、それでもミソロギアの解体、吸収の陳情は多くあげられている。
このような状態でミソロギアの悪名を轟かせればハマーンの名をもってしても抑えきれなくなる時はそう遠くないだろう。
故に今は大義名分を重視する。
連邦の攻撃部隊に40機、基地防衛用に配備されたシルメリア30機の半数である15機、ガルダ級の艦載機15機、合計70機。
連邦軍は今回の攻撃は奇襲のつもりである。だからこそ立案から実行までが素早く決定されたのだ。にも関わらず70機ものMSが現れたなら――
「な、なんだ?!この大軍は!!」
「戦闘許可は?!ここで戦闘していいのか!!」
「くそ!明らかに情報が漏れているぞ!」
大混乱に陥る。