第五百六十九話
「即日現物払いとは……今回は対応が速い」
「奴らは地球連邦の失態に対しては対応が遅いが自分達の失態への対応は速いのはここでも変わらずか」
ハマーンが言い終えるとともにため息を漏らす。
しかし、コンペイトウの捕虜とは違って今回はすぐでこちらとしては助かる。いらない食料消費が抑えられた。
「それでアッシマー52機も用意するのだから大した決断力だ。ぜひこれからも使いたい手法だな」
「恨まれても知らないぞ」
「恨んで喧嘩を売ってく献上してくれるなら喜んで買うが」
今回の取引内容は全てプルシリーズが整えたものだ。
戦闘自体は敵が思わぬ無能を晒したせいで経験にはならなかったのでそちらの経験を積ませようということになった。
ついでに手に入れたアッシマーの改修が終わり次第、基地の運営もプルシリーズに任せることにした。
シルメリアは技術流出の危険性があったために委譲していなかったが使い捨てできるアッシマーがまとまった数を手にしたことでプルシリーズに任せても問題ないと判断したからだ。
「このまま連邦は引き下がるとは思えないが次は残りの捕虜を引き渡してからになるだろうな」
「そもそも武力行使してくるかしら、順当にするなら経済制裁――あ、私達に経済制裁なんてできなかったわね」
「経済的繋がりはネオ・ジオンにしかないからな。制裁しようとすればネオ・ジオンが対象になるだろうが私達に影響はない」
そもそもネオ・ジオンとの貿易がなくとも私達だけでどうとでもなる。
「もしかして私達をどうにかする方法って武力行使以外ない?」
「ないな。だから連邦軍の選択そのものは間違ってはいない。こちらの戦力を考慮しなければ、だがな」
「最大の落とし穴を考えないって自殺志願者と変わらないわね。そういえばアッシマーの改修は終わった?」
「そちらは既に完了した」
MD化はもちろん、MDに装甲など最低限でいいので軽量化も兼ねて装甲を取り替え、関節部分の摩耗対策と反応速度の向上を施し、先の戦いで鹵獲したジェガンが装備していたミサイル・ポッドを装備させたり(パージ可能)をシルメリアには劣るが、そこそこの仕上がりになったと自負している。