第五百七十四話
「やっとここの名前が決まりますね!」
「たかが捕虜交換に時間掛けすぎなんだよなー」
「コンペイトウなんてお菓子と同じ名前なんて連邦もセンス無いよね」
「どちらかというとテトラポッドの方が似てると思うんです」
「お、もしかして現地で見てきたの?」
「ええ、海も見てきましたよ。確かに地球に住む人間がしがみつくのはわからなくはなかったです」
「へー、資料映像でも綺麗だったけどやっぱりすごい感じ?」
「生命の起源を感じましたね。それでおじいちゃんのやろうとしたことに納得しちゃいました」
「ジャミトフおじさんがやろうとしたこと……ああ、地球にいる人間を滅ぼすってやつだっけ」
「ええ、海には……海を擁する地球にはそれだけの価値がある。そして人間にはそれほどの価値がない」
「なるほどなるほど、地球なんてどうでもいいって言ってたのに……そんなにかー」
「皆が皆じゃないだろうけど、私は感動したよ。ただの塩水なんて思えなかったもん」
「今はそんな話じゃないでしょー。ここの名前に関してだよー」
「そうだったそうだった。でも投票は終わったんだから後は発表待ち――お、噂をすれば――」
AIによって動いていたアレン人形にアレン本人の気配が宿り、それを感じ取ったプル達は近くにいるアレン人形に集まり、プル達以外の者達にはアレン人形の方から近づく。
「では、コンペイトウの新たな名を発表する。」
一通り、挨拶を終えて本題を切り出す。
「圧倒的得票数でオイコスと決定した。由来は既に知っているとは思うが説明しておく。オイコスとはギリシャ語で家という意味であり、我々の新たな家であるという意味も込められている。我々は社会からも世界からも孤立した存在である。しかし我々は独りではない。共に生き、これから生まれる者達に誇れるものであれ」