第五百七十五話
「それにしてもせっかく投票にしたのに忖度ではないにしても私の名付けに影響受け過ぎだろう」
データベースにあるコンペイトウの名称をオイコスに変更作業を勧めながら思う。
改名をイベントとして盛り上げたにも関わらず、最終的な結果は私が単独で名前を付けるのとあまり変わらないものとなったな。
とはいっても全員で決めた名前であることには変わりないので絶賛お祭り中である。
「――なんだが、3位『カミーユハーレムの巣』、2位『ジャミトフお爺ちゃんの老人介護施設』というのはどうなんだ」
もちろん真剣に投票した結果ではない。
1位が確定した段階でネタとして投票した結果なのは知っているが……1位と2位の差が2%とギリギリなんだが……遊び過ぎだろう。間違って1位になったらどうするつもりだ。私が口にしたことを反故などしないことを知っているだろうに。
「とりあえず悪ふざけをした妹には祭りが終わり次第、引き締めのために特訓を実施します」
「でも採用されても多分ちょっと経ったらまた投票したと思うから手心は加えてあげよー?」
生真面目なプルツーは悪ノリが過ぎる妹達を〆るために計画を立て始め、プルが情状酌量を訴えているが、おそらく聞き入れられることはないだろう。私も止めるつもりはない。
「随分と大所帯というか大きなものを背負ったわねー私達」
前の世界で3大勢力の1つを背負っていたハマーンが言っても説得力がないが、確かにコロニー1つだった頃から比べると、コロニーが2基、オイコス、ついでに採集基地が10箇所……確かに背負うものが増えたものだな。
「いつでも切り捨てられる程度にしておくか、その心配が不要なほど注ぎ込むか、悩むところだな」
「オイコスはミソロギアより重いから頻繁に移動するのは難しいわね。気をつけて立ち回らないといけないわね」
「核パルスエンジンを常設しておくにしてもやはり加速までにタイムラグが発生してしまいますからね」
「でもコロニーより強度も面積もあるから設置個数が増やせて細かく動かすことができるよ!」
「こんな巨体で小回りを強化させてなんの意味が……そんな危機的状況なら未来予測システムで視れているから迎撃した方が現実的だ」
「オイコスを施す予定のビームシールドはどの程度の強度になるのかしらMSに搭載するものより当然高出力なんでしょうから守りはある程度それに依存することになるでしょうね」
「展開したらすごく目立ちそうだよね!」