第五百七十六話
オイコスとミソロギア1と2の合流を果たしたわけだが、やることが増えた。正しくは滞っていたことが進み始めた、という方が正しい。
本拠としていたミソロギア1と新しく加わったオイコスでは設備に差がある。
設備そのものをオイコスで生産することも可能だったが、規模が大きくなったとはいえ、総人口が1万どころか5000人に届いていない現状で複数必要ないものは数が多い。
「コロニーのように広大な空間だったらよかったのだがな」
オイコスは元々資源採掘用に運ばれてきたものを要塞として転用したものだ。
完全に1から作られたコロニーとは違い、採掘後に大きくは手を加えることなく(ジオン公国の予算的都合で)整えたことで内部は複雑に入り組み、通路の広さも統一されていない。場所によっては人間が行き違うのがギリギリ程度の広さしかない通路もある。ちなみに次の支配者である連邦は宇宙軍の軍拡を進めていたグリーン・ワイアットが整備を計画していたが星の屑作戦で見事に星の屑になり、それ以降は規模の大きいジオン残党は確認されなかったため、そのまま現在に至る。
つまり、ジオン公国の急ごしらえなままであるため、物資輸送が思った以上に手間取っているのだ。
「時期をみて整備を行う必要があるな」
「人員が足りずに封鎖している区域もあるというのに皮肉なものね」
ハマーンがモニターに映し出されている数字と睨みながら呟き、プルツーが次ぐ。
「現在の人口ではゲートも多すぎますが、封鎖すると展開時に遅れが生じ、防衛も手薄になってしまいます」
「アレンパパは基本的にここにいるし、そうじゃなくても未来予測システムもあるから問題にはならないとは思うけど使わない無人のゲートってあるだけ不安だよねー」
プルの言っていることも理解できる。
私達はニュータイプ能力に依存している以上は無人兵器に対しては察知が一歩遅れる。
私は害がありそうだと判断したら偵察段階でも察知することができるので問題ないだろうが、未来予測システムにそこまでの精度は出せない。故に偵察から突然攻撃に切り替えられたりすると多少なりとも被害が出るだろう。
「だからと言ってゲートに駐在させるだけの妹達を確保しては他に支障が出る」
「安直に増やすってのは愚策よね。いくら促成栽培が容易でも管理が限界なんだっけ」
「やってやれないことはないだろうが……生まれてすぐ仕事につけると精神が安定しないことが多い。下手をすると自殺までする個体が出ても不思議ではない」
「どんなに早く体が成長しても知識をつけても精神が成長するか保護者がいないと無理が出るのね」
「人間などそのようなものだ」