第五百八十話
無能な指揮官による生命の無駄遣いが3000を超えたこと以外は平和な時が1ヶ月ほど過ぎていた。
そしてとうとう本日、無能指揮官の無能っぷりが露呈して更迭されることとなった。更迭であって法で裁かれないあたりに闇を感じるが、いつものことか。
連邦は連邦でネオ・ジオンに宣戦布告するつもりだったようだが、タイミングを逃してしまったためにきっかけを作ろうとしているが、なぜかそのきっかけに私達を使おうとするので未然に防ぐことになってしまっている。
諦めればいいものを、やはりネオ・ジオン……いや、ジオン系組織への不信感はそれほど根強い。
まぁこの世界でもコロニー落としが2度行われ、先日未遂とはいえ3回目が行われようとしていた……しかもネオ・ジオンが阻止に動かなければおそらく成功していた。敵対心を抱いて当然ではある。もっとも先日のコロニー落としは連邦自身が煽った結果なので自業自得だが。
にしても私達を巻き込むのは自殺行為以外の何物でもない。
「とりあえずオイコスは最低限整ったか」
もっとも居住区と反乱軍討伐の際のネオ・ジオン軍程度の奇襲を問題なく受けれる防衛設備ではあるが。
現在の到達予定は連邦の全宇宙軍の奇襲(ここまでの規模で奇襲と言えるかは疑問だが)を受けても問題ない程度なのでまだまだ最低限としか言えない。
将来的には時渡り後の未来の世界の未知の軍団を仮想敵に備えたいところだ。
もっともこの宇宙世紀の未来の延長線上なら100年後であったとしてもよほどのブレイクスルーがなければある程度渡り合うことは可能だろう。唯一不安要素はサイコフレームだが、問題はニュータイプを徴用できるか、ニュータイプの覚醒させる技術を手にできるか、明らかに違法で不安定な強化人間を量産することが可能か、これらのどれかが達成できた上で数を揃える必要があるため、それほど心配する必要はないはずだ。
もちろん私のような存在がいればかなり危ういが……そんな存在がいる場合、おそらく時渡り前に察知できる、はずだ。
「とはいえ、時渡りそのものが未知に等しいので迂闊に使うことはできんが、な。まだまだ研究せねば」
研究といえばプルシリーズに、特に上位ナンバーへと権限の移譲を行ったことで研究時間や趣味に費やす時間を増やすことができた。
おかげで知らぬ間に溜まっていたストレスも軽減され、脳の活動も良くなった。やはりタスクマネジメントは大事だと実感。
ただし、ミソロギア全体の効率は20%近く低下してしまったが、それはプルシリーズの能力不足というよりは経験不足から来るものであるためそのうち解消されることだろう。