第六百二十一話
艦隊からの砲撃やミサイルが減ったことで――
「まずは1機っ」
回避行動が減れば攻撃に回す余裕が生まれ、火力を1機に集中させた。
もちろんサイコプレートを盾にするが――
「それは既に見切った」
防いだサイコプレートへ更に斉射を浴びせる。
サイコプレートを替える暇など与えず、そして全く同じ箇所に命中させたことで融解し、サイコプレートが耐えられなかった攻撃に量産型νガンダムが耐えられるわけもなく、爆散。
「もう1機も――いや、この位置――抜けるっ」
2機で進行を防いでいた故に1機が沈んだことで穴ができ、それをついて突破。
未だに速度を落としていないクィン・マンサが一度抜き去れば追いつくことは叶わない。
それをフォローしようとジェガンやジェダなどが進路上に立ち塞がろうと動くが――
「私は貴様らの勇気を讃えよう。そして貴様らは自らの愚かさを呪うがいい」
偏向されたメガ粒子が次々と連邦MSを貫き、被害だけが拡大し、足止めどころか速度を削ぐことすらも叶わず、17機のMSが撃破されたところでハマーンの速度に追いつき、妨げられる戦力が消失し――最終防衛ラインを突破し――
「さて、後は艦隊のみ……しかしIフィールドの稼働時間がそろそろ限界か」
正面から突破するにはビームライフルだけではなく、メガ粒子砲もIフィールドで防ぐ必要があった。しかし、通常出力では旧式であるサラミス級やマゼラン級の主砲ならばある程度耐えられるが、アーガマ級やアレキサンドリア級などの次世代艦の主砲では2、3発は耐えられるがそれ以上は耐えられない。もちろんある程度時間をおけばIフィールドは構築できるが、そんな生易しい弾幕ではない。
そこでIフィールドの出力を高めることで耐久そのものを向上させることとしたわけだが、それと引き換えに稼働時間を犠牲となっている。
ミサイルよりも速く、ほぼまっすぐ戦場を突っ切って艦隊に到達して限界が近いというのだからどれだけ短いかはお察しだろう。
「ここからが本番か」
いくら装甲に自信があるクィン・マンサとはいえ次世代艦の主砲は耐えられず、旧式艦の主砲なら当たりどころが良ければ耐えられるが戦い続けられるという保証はない。