第六百二十四話
「早くしないと逃げてしまうぞ」
「わかって――落ちろ!」
私達は現在前線に向かって前進中だ。
ハマーン閣下が最終防衛ラインを突破し、フル・フロンタルは連邦のニュータイプ部隊と交戦を開始し、強化されたアムロ・レイを撃破とまではいかなかったが無力化しゆっくりと前線から離脱――している。
勿体ない。
せっかくアムロ・レイという希少個体が無防備な状態で漂っていて、それをただ黙って見送るなど勿体ない。
というわけで私達はアムロ・レイ回収のために全速力で向かっているわけだ。
ちなみにハマーンは結局アムロ・レイに掠らせることすら叶わなかったのでアムロ・レイの回収が叶えば褒美を用意すると約束した。
しかし、やはり単艦で前線を進めば悪目立ちしてしまい、先程から敵が次から次へと攻撃を仕掛けてくる。
幸い周辺のニュータイプはフル・フロンタルかハマーン閣下の対処に向かったためいない。
単体ならともかく、複数を相手にするとなるとまだまだアッティスに不慣れなハマーンでは時間が掛かるので助かっている。
「ファンネルの残基は、問題なし……シールドビットもまだ十分あるが……そろそろレナスを出すか」
確かに敵が多くなってきたのでレナスを出して思考的負担を減らしたいところだろう。
ファンネルもレナスも同じサイコミュ兵器に分類されるが、操縦者への依存度の違いがあり、ざっくり言えばファンネルは7割、レナスは母艦級などの専属パイロットがリモートを行う通常使用時は9割だが、遠隔操作による無人兵器としての使用時は強化人間人格OSが主体となり、3割程度の負担で済む。これのおかげでハマーンがアッティスの実戦運用ができるレベルを実現している。
レナスがなければ波状攻撃の前に爆沈する未来しか見えない。