第六百二十九話
「第5、6MS小隊全滅!10、15小隊半数が――訂正、全滅!」
「な、なんなんだあれは――」
敵は内乱後で士気が落ち、再編間もなく、新兵が多い点では同等ではあるが数は勝っていたし、質の面でも未来の技術という天恵といえるものを手にしたことでネオ・ジオンを一蹴することができると確信していた。
しかし現実は少し違った。
全体として見た場合はその未来予測は間違っておらず、連邦軍優勢。
問題は――
「し、白い悪魔はこちらにいるのに――」
モニタに映し出される光景はオペレーターの悲痛な叫びとしか聞こえない報告を物語っており、護衛についているジェガンやジェダが次々と爆散していくクィン・マンサはアムロ・レイの異名であるはずの白い悪魔を体現していた。
「モ、モビルスーツはッ!ニュータイプ部隊は何をしている!早くあれを、あれをなんとかしろ!!」
「他の部隊はキュベレイ部隊と交戦中でこちらに来るには時間が掛かります!」
「ここで私が討たれたら責任問題になるぞ!なんとかさせろ!」
いや、私に責任はないし、あんたが死んだら私も死んでるから責任問題なんて言われても、と声に出そうになったのをぐっと堪えて聞き流す。
搭乗艦は既に大破寄りの中破で、政治家も移乗を行うレベルである。だったらなぜ政治家が未だにここにいるのか、それは旗頭としての意地――などではなく、ただ単に艦橋から出れなくなっているだけである。
艦橋から避難用シャトルまでの通路の重要性から頑丈にできているのだが、運悪く爆発によって寸断され、復旧は頑丈であるはずの通路であるため少数でも通れないとなるとダメージは深刻であり、時間が掛かることがわかっているため艦本体を優先されたことで手付かずの状態だ。
「くそっ、あいつらいくら掛けたと思っているんだ!役立たず共、が」
「――――…………MS部隊、全滅、しました」
絶望の表情を浮かべたオペレーターによる死の宣告が齎された。
あまりにも早い。
護衛としてついていたのはジェガンとジェダがそれぞれ16機、合計32機。それらが交戦を始めて2分と掛からず全滅。
「そ、そんなわけが――バカな、ことが――」
強い揺れが艦を襲う。
クィン・マンサが艦橋を無遠慮に触れたことによるものである。
つまり、完全に詰みとなった。
この状態では例えクィン・マンサを撃破できたとしても艦も爆発に巻き込まれることになってしまうし、そもそも攻撃することすら困難だ。(キラ・ヤマトってすごいよねー)
「随分と手古摺らせてもらったが、無事で良かった。どういう要件でこんなことをしているかは知っていると思うので端的に告げよう。降伏、そして停戦をしてもらおうか。さもなくば――」
ビームサーベルを取り出して出力、そして艦橋の装甲部分を撫でるように熱していく。
「どうなるかはご想像に――」
そしてサーベルを片付け、艦橋を手で挟み――圧――
すると柔らかくなった装甲は変形して行き、ブリッジの内部まで変形してまるでリサイクル処理場のゴミのように潰れていく。
「おまかせするとしよう」