第六百五十五話
とはいえ、このシャンブロという機体は海のクィン・マンサと言っても性能だというのは間違いない。コスト度外視である点も。
しかし生産効率の悪さが足を引っ張るというのなら私達には好都合である。大量生産を行えばコストが下がるのは家電でも兵器でも同じである。
このまま似せて作るのは――
「可愛くない」
「かっこよくない」
というハマーンやプルシリーズの意見により却下された。確かにどちらかというと男性ウケが良さそうであるデザインなのでハマーン達が気に入らないのはわかるし元々変えるつもりだったからいいのだが、あまりデザインに拘られると何らかの技術的な理由で決めた時に困るのだが……。
それはともかく、このシャンブロを土台に改造して沿岸制圧戦力として運用することとした。
以前の水中型MDで海を閉鎖し、シルメリアで制空圏を確保、シャンブロで沿岸制圧、となるとせっかくなので陸上専用機も必要か?シルメリアでも代用できるが基本的に飛行しているし、徹底した軽量化によって脆く、それこそMS戦を想定していなかった頃のザクマシンガンですら撃墜されるほどだ。
となると対極の思想で欠点を埋めることが基本とするとまずは防御性能、次に最低限満足できる機動性とそこそこのの火力、シャンブロの高火力でありながら手数が少ないことを補う火力支援と言ったところか。
(このシャンブロはこの時代がΖΖなので原作のシャンブロの試作段階であり、原作とは大きく異なっていて水中専用であったり、リフレクタービット非搭載だったり、当然サイコ・フィールドもまだ技術的にありません)
「どこかで聞いたことがあるコンセプトだな」
思い浮かんだのはMS-09ドムだ。
さすがに今更ドムをそのまま製造しようとは思わないが、コンセプトでは類似である。
「シルメリアは継戦能力も砲数も最低限という欠点があるし、アリだな」