第六百五十六話
ドムのようなコンセプトの機体を考えていたが、よくよく考えてみると地上でしか使えない機体を開発、量産するというのは非効率だ。
しかし、火力支援は必要になる可能性は否めない。
そこで思いついたのがYMS-16Mザメルという機体だ。
地上専用機であり、少数生産な上にキャリフォルニア・ベースで開発されたのだから知られていなくても仕方ないだろう。
前の世界ではデラーズ・フリートが運用していたから私も知ったが、それがなかったらおそらく存在を知ることはなかっただろう。
このザメルという機体、遠距離火力支援機にしては高機動であり、防御性能も優れている。
これを手本とする予定だ。
もっともザメルの主砲である680mmカノン砲は折りたたみ式の砲身は発射時に反動で上下してしまい精度が悪く、折りたたみ式というのはコンパクト化にはいいが、その製造には技術が必要であり、細やかな整備が必要であり、それを怠れば腔発事故を引き起こす可能性が高いという問題が多い。
他には武装がミサイルとバルカン程度しかなく、白兵戦に弱いという点があるが、それはザメルの使用用途が間違っているので考慮しなくてもいい。
だからと言ってザメルをモデルとしてMSを開発したわけではないのは前途の通りだ。ではどうしたのかというとザメルを追加武装化、地上用パノプリアのようなものを開発しようというわけだ。
武装はカノン砲や対地中用バンカーバスター、クラスター弾頭、核弾頭(GP02のアトミック・バズーカの弾頭を流用)など全て実弾を予定している。
これはシャンブロ(仮)はビーム兵器を多用する予定であることや大気の影響で不安定になるのであまり使われることはないが地上でIフィールドを搭載する敵への対策でもある。ついでにビーム兵器以外の技術の蓄積も含まれている。
「連邦と条約なんて結んでないけど、普通だったら非難轟々ね」
核はもちろんのことクラスター弾なども過去に条約で禁止されていたか、しかし、ハマーン。条約や前例がないからとコロニー落としは問題ないと決行したジオン公国よりはマシだと思うが……まぁどんぐりの背比べ、五十歩百歩に過ぎないが。
「でもその武装って火力支援機なのかしら?」
……言われてみれば戦術級、もしくは戦略級の兵器ばかりで火力(過剰)支援になってしまっている気がする。
「それに一応人類から地球の解放を大義に掲げるなら核はマズいでしょ」
「確かに……それに万が一奪われて使われても面倒か」
地球ではMDがメインとなるので被害が出ても問題ないが、やってないことを恨まれる筋合いはない。