第六百六十五話
移住コロニーの準備が一段落ついたので資源採取基地近隣の村を軒並み攫い、強制移住者が10万人追加された。
準備が終えたことで食料や日用品の生産、コロニーの清掃などの労働をさせるようにした。
社会実験的にはやはり前提となる人間の知識や常識に引っ張られて、前の社会で要職についていたり学歴がいい者達が指導者層となって始め、法も厳密ではないにしても地球連邦のものを遵守するような流れとなっている。
予想通り過ぎて面白くなかったが、新しい移住者が増えてきたことで変化が生まれてきた。
今までは野次馬が大半で、野次馬は近隣から集まったのではなく、遠方からバラバラの場所から集まってきた者達だったのである意味柵がなく、新たな社会の形を作るのに問題は混乱と外敵に対して概ね一致団結していた。
しかし、後から新しい移住者は村単位で攫ってきたため、多少の立場の変更による混乱はあるが人間関係はそのまま引き継ぐ形となり、それが派閥となるまでにはそう時間は掛からないだろう。
ちなみに移住コロニーのルールはたった2つ、コロニーの保全と定められた労働の達成、殺人だろうとなんだろうと私達が関与することはないと伝えてある。
前回の暴動に関してはコロニー保全に支障を来す可能性があったので鎮圧したが、実際移住者同士の殺人、暴行、強姦、リンチなど確認しているが何もしていない。
これらのことは監視しているプルシリーズにとっても興味や嫌悪など様々な刺激になっている。
プルシリーズはもちろんのこと私も普通の人間との関わり合いが少ないのでこういう特殊な環境下でも『人間』を観察すると色々と考えらされることがある。もっともいい影響ばかりではないのも事実で、しばらくは観察することになるが。
「さて、さすがに10万もの人間が消えたとなれば動かないわけにはいかないようだな」
連邦軍がやっと重い腰を上げた。
ネオ・ジオンとの戦いの事後処理が終わっていないが、こちらの挑発行動で黙っていられなくなり、大規模な討伐軍が編成中だ。
さすが連邦軍の膝下なだけあってネオ・ジオンとの戦いの時よりも規模が大きくなるようだ。