第六百六十六話
連邦軍は公式には発表しないが準戦時体制に移行した。
この世界の時系列的には未来のMSであるジェガンが主力として担う予定だったが、平和な世の統治を前提として、性能、生産性、整備性などに優れ、拡張性に余裕を保たせた名機と言える機体だと私でも思う。
しかし、この世界は連邦は認めないだろうが戦乱とまで言わなくとも平和な世ではなかったのが不運と言えるだろう。特に私達の存在は。
数を揃えた上で敗北続きというのは一年戦争初期、MSという新たな兵器に屈した時以来だと言える。
MSが開発されてからは局所的に負けたことはあってもそれは奇襲による敗北であり、正面切っての戦いでは負けていない。
故にネオ・ジオンや私達に正面から戦い負けたというのは連邦軍として、いや、国の威信を保つために討たなければならない。
そしてその国力を十全に発揮して次々と兵器としては珍しい先祖返りする形でジェガンのプロトタイプであるジェダが大量生産され、ベテランパイロットにはジェスタ・カスタムという何のひねりもない装甲を削ぎ落として運動性と機動性を向上させたMS、そして何よりシルメリアに対抗するべくバイアラン・カスタムというどこかの基地で現地改修した機体をベースとして再設計されたバイアランII、アッシマーの後継機であるアンクシャ、SFSと火力支援を兼ねたメガライダーが突出して生産されている。
アッシマーの後継機といえばキハールIIを思い浮かぶがキハールIIはインレの搭載機で、アッシマーの後継機というわけではなかったか。アッシマーからどう改良されたのか気になるところだ。
バイアランIIはそもそも人型で飛行するというのは非効率なので期待していない。
そしてメガライダー、これは結構注目している。
火力支援の重要性は改めて実感したわけだが、あの連邦が開発した……わけではなかったな。作ったのは闇商人ことアナハイム・エレクトロニクスだったか。ただ売り込みに成功しただけでないことを祈ろう。