第六百七十二話
起こることは予見していたがあまりいないだろうと予測していた事象が思った以上の規模で発生した。
なんのことかというとコロニーへの移民希望者のことだ。
一応ネットや定期的にテレビをジャックして移民者を募ってはいた。
条件は色々とあるが移動費無料、衣食住の保障、病気である場合はどんな病であっても治療などだ。
敢えて伝えていないが強制移住コロニーは情勢が不安定であるため、自主的に移住するというならそんなところに放り込むというのは詐欺に等しいと判断して別の私達が直接統治するコロニーを用意した。
その移民希望者は今のところ1万人。地球に住む人口から考えれば少ないが気分で地球侵略しているテロ組織を信じて移住する人間が1万人もいるというのは驚きだ。
どうやら私が考えている以上に地球連邦の信用が堕ちているようだ。聞き取り調査でも立て続けに連邦軍が敗北していること、後はやはり不治の病の治療というのは手堅い札だな。やはり世の中命を握った者が勝ちだと実感する。ただし、もっとも多かったのは生活苦からの移住だった。コロニーへの棄民も滞っている今、貧民層が新たに生まれても不思議はないか。
まぁ100人ほど連邦のスパイだったりするがそうとわかっていれば困ることはない。それにしてもどうやって情報を送るつもりなのだろうか。戦時となってミノフスキー粒子は常に一定レベルで維持されて短距離ならともかく長距離の通信は不可能、これはコロニーならどこも同じだが外部への接触、脱出手段が限られている。そんな状態でスパイ活動ができるわけもなく、ただただ移民者が増えただけとなったわけだが。
「侵攻の期日までもう少しか」
まぁ挑発行動や村や街を丸ごと誘拐しておいて今更ではあるが、実際本格的侵略をしているわけではない。もししていたら今頃私達は大忙しだ。
「さて、ターゲットはどこにしようかな」