第六百七十四話
連邦市民にとってミソロギアの宣戦布告は多くが騒いだが、不安はあれど政治家のスキャンダルとそう変わりはなかった。つまり、不安はあれど当事者意識が薄く、危機意識も薄いもので不平不満を吐き捨てる程度に騒いでいたに過ぎない。既に数十万人が拉致されている事実を知っていても所詮は多くの人間にとって画面越しの数字でしかないのだ。
しかし、その朧気な現実が、今、現実へと転化する時が刻一刻と近づいている。
「上空より降下艇と思しき物体を確認!データ照合――例の組織が使用している艦艇です!」
「ちっ、宣言通り攻めてきたってのか?!スタンバってる部隊を全部出せ!予定通り援軍要請もだ!」
地球侵攻の宣言され、実際各地で拉致が起こっている現状では妄言と断ずる根拠はなく、宣言がされた日、つまり今日を警戒して日付が変わる前から地球全土の基地に警戒、ではなく戦闘態勢を敷くように命令が出ていたが、出てはいたが司令官は本当に攻められるとは夢にも思わなかったのだ。
「降下艇よりMSらしき影を確認――例の羽つきと確認!数は――300!」
「はっ?!地球にいる奴らは移動していないはずだろ!その上で300だと?!奴ら一体どれだけの戦力を持ってやがるんだ」
資源採取基地は常に監視されており、どれだけの戦力を有しているかまでは把握できていないが間違いなく他に移動はしていないことを確認している。
にも関わらず300機ものMSが降ってきているということは少なくとも宇宙にある本拠地はこれ以上の戦力を有していて各基地の戦力も含めると1000機を軽く超えることが簡単に想像できてしまう。
この日の対策として今まで隠蔽されていたものも含める戦闘データを全軍と共有しているが、それが嫌な未来を描く助けとなってしまう。
そして更に凶報は続く――
「司令!セバストポリから緊急通信!現在沿岸より巨大MAと羽つきの奇襲を受け、交戦中。情勢は劣勢なため援軍は不可能とのことです!」
「奴らは海にまでいるのかっ!一体何者なんだ。奴らは――」