第六百八十三話
互いに艦砲射撃などなく、初手からMSの白兵戦となった。
連邦側は万が一にも誘拐されている市民を巻き込むことを避けたかったこと、ミソロギア側はパイロット達のやる気に水を差さないように、という配慮だった。
連邦側はともかくとしてミソロギア側は舐めていると言ってもいい対応だ。しかしアレンはそれを許した。
舐めて勝てるという目算でもあるし、舐めた結果失敗するのも経験であると口出しはせずにいた。
「たかが5機で突っ込んでくるだと?新兵が先走ったか」
連邦兵がそう思うのも仕方ない。
500を超える大軍に向かってくるなんて――と思ったところではたと気づく。
「逃げるならともかく突っ込んでくるだと、それに後方の敵は陣形を崩さない?!」
そうなると可能性は2つ。
言った通り、新兵の先走り、そしてもう1つはこれが予定通りの行動であること、となると可能性が高いのは後者だ。
何より――先のネオ・ジオンとの戦いで少数に振り回され、艦隊を無力化、行動不能とされ司令官を捕らえられて敗北したのは記憶に新しい。
そう考えたのはこの兵士だけではなく、他にも多くの兵士が気づき、反射的に銃口を向けて引き金を引いていた。
「素直な反応だ」
プルシリーズはプレッシャーを弱めに放つことで精神を揺さぶり、攻撃をするように促し、それを躱す。そして1射に釣られるように他の機体が遅れてもう1射するが、それもひらりと躱してしまう。
「Iフィールドで防ぐまでもないな」