第六百九十話
当然の結果として連邦軍との戦闘は勝利した。
司令官の判断が遅く、結局9割を損失するまで決断できずに戦い続けることとなったが、こちらの被害はファンネルが多少消費されたが許容範囲内、いやむしろ予想よりも低いものであったし、キュベレイ・ストラティオティスはIフィールドはもちろんだが、新たに装備としたビームシールドによってほぼ無傷という完勝といえるものだった。
「思ったより弱かった」
プルシリーズのレポートの内容はこれだった。
未来から技術を得たというだけあってMSの性能そのものは注目することはないが軽視することもできない程度には洗練されているが問題はパイロットの方にある。
前の世界ではエゥーゴ、ティターンズは最終的には形は変わりつつも元の鞘に収まり、人材の喪失が抑えられた。逆に言えば地球連邦にとって小勢力でしかないエゥーゴとティターンズを失ったことはそれだけの痛手だったということでもある。
人材の喪失はどんな組織でも回復には時間がかかるということだ。
そもそもジェダという機体性能は優れているが、そもそも配備そのものが急だったこともあり、そのカタログスペックにパイロットがついていけなかったという部分が強い。そして、そんなことが想像もできなくなっている軍上層部の質の低下。
「私も気をつけなければな」
プルシリーズの数を増やしたのはその欠点を埋めるためだったが、結局は私自身が定めた上位、中位、下位、新米と区分したように積み重ねた時間と能力が比例することから通常の人間よりは基礎値が高いが克服できたとは言いづらい。
実際、上位ナンバーを半数失えば私の負担が大きくなり、プルシリーズの教育に悪影響を及ぼし、立て直すのにどれだけの時間を要するかは計り知れない。