第六百九十一話
第一次強制移住民が移住コロニーに到着し、既に手配が進んでいる……が純粋なアースノイドにとって無重力というのは慣れるわけもなく、動きは緩慢であり、スケジュール通りには進まない。
まぁこれは仕方ないだろう。実際無重力に慣れているプルシリーズが地球に降りた時に重力を忘れて高低差を気にせずに落下する事故が起こるぐらいなのだ。逆がないわけがない。そして今までとは人数が文字通り桁違いだ。行動は群れれば群れるほどに鈍くなるもので、訓練されているプルシリーズであってもそれは変わらないのだから強制移住させられているオールドタイプならなおさらだ。
そして降伏した連邦宇宙軍もほぼ同時刻にオイコスに収監した。
元々連邦軍の拠点であったオイコスなだけあって鹵獲機の整備や分解に適しているし、万が一私達を掻い潜って自爆されたとしてもオイコスならコロニーよりも頑丈だから最小限の被害で抑えられる。
コロニーの宇宙港も強固にしているとはいえ、純粋な人工大地にダメージを与えるようなことは少ない方がいい。
以前降伏が遅かったと言ったが、それによって艦隊が撤退することができず、キュベレイ達が前線を突破し、捕捉する方が早かったことで艦隊を丸ごと鹵獲することに成功した。
正直に言えば艦艇がこれほどあっても人的資源と整備の観点から運用に困るのだが、資源として見るとなかなかおいしい。ただし、資源は既にそれなりの備蓄はしてあるし、捕虜交換で手に入れている分やこれからの交渉で手に入れるので急ぎではないので当面はミソロギアやオイコスの防衛用移動砲台として活用する予定だ。活躍する予定はないが。
MSに関しては損傷が大きいものばかりで数機を寄せ集めて修復する必要がある。幸いほぼ同一機体ばかりなので修復は簡単ではあるが、艦艇と同じように運用するに問題があるため急務ではないため後回しとなる。
「それにしても人の気配が増えたな」
私にとってミソロギア1、2、オイコスの距離はあってないようなもので、移住者達の気配を強く感じてしまう。
基本的にミソロギアでは負の感情はあまり存在しなかったが、移住者達は負の感情を多く発しているため不快感を強い。近所に汚水処理場があるような気分だ。