第六百九十五話
「ん?レナスが落とされているな」
プルシリーズが騒がしいのでその気配の向く先に意識してみると、レナスが落とされていく光景が見えた。
レナスが落とされる事自体は珍しくないが、こちらが数的有利の状態で落とされるのは珍しいことだ。
「この気配――こちらの白い悪魔か」
ティターンズ残党を討伐するために宇宙にいたはずのアムロ・レイだったが少し意識を外している間にいつの間にか地球に移動していたようだ。
情報を集めてみると連邦、特に主導するカラバがティターンズ残党などよりも私達の方が脅威だと感じ、宇宙よりも基盤である地球から追い出したいという目論見でアムロ・レイを呼び戻したようだ。
現在アムロ・レイが乗る機体はΖタイプ……と言っていいのか微妙な機体に乗っている。
Ζタイプのようなデザインではあるし変形機構そのものもメタス系のような簡易なものではなく、Ζタイプそのものだ。しかし、全長が22mとサイズがΖのそれではないし、全体的に巨大化しているため、どちらかと言うと見た目はΖで、内容はΖΖに近い感じだ。
「急ぎ拵えなのはわかるが、パイロットの意向を清々しいまでに無視しているな」
いや、確かに既存のΖタイプよりも推力も出力も上がり、武装もΖのハイパー・メガ・ランチャー、ΖΖのダブルビームライフルを2丁と火力は申し分ない。そして私のものよりも未完成で実弾兵器を防ぐことができないが対ビームなら通常の盾以上に防ぐことが可能なビーム・シールドが装備されている。
やはりビーム・シールドの模倣は容易だったか。まぁ元々連邦の技術だったものを手を加えたものだから実物と実績を目の当たりにすればこうなることはわかっていた。
ああ、ビーム・シールドの出力をジェネレータから引っ張ってきているのか、だからMSが大型化してしまったのか。
「――合わないMSでもコレだから白い悪魔と呼ばれるのだろうな」
遠距離操作で性能が落ちているとはいえ、レナスを一方的に落とされるとは。
このまま無駄に被害を増やすのは資源の無駄だ。レナスの編成を見直して最小運用機数を増やす――ようにプル22が対応しているな。この調子なら任せても問題なさそうだな。