第七百六話
さて、なぜ私が白い悪魔の専用機を奪い取ったか。
それは第二次侵攻を開始するためだ。
しかし、いつもは白い悪魔との戦いを経験値稼ぎとしているのになぜ今回は無力化、戦力低下を図ったかというと、今回の侵攻は前回とは、というより現在において行われることはない戦い方をする予定だからだ。
「さっさと布告するとしよう」
今回は前回と違う点がある。
それは布告してから侵攻まで48時間という猶予がないことだ。
まぁわざわざ事前に宣言して攻めるのだから苦情が来ることは――ああ、いや、現地民からは阿鼻叫喚、苦情(感情)が届いているな。それは守れない連邦が悪いと諦めてもらう。
侵攻目標はベルファスト。
目的は海洋資源の確保の効率化と連邦の水中MSの発展を促すこと。
強制移住は前提条件であるため説明は省くが海洋資源の確保はオデッサでも行われているが黒海では狭すぎるのでベルファストで港湾基地を確保して効率化させる。
そもそも黒海はマルマラ海への出入り口ボスポラス海峡は長さ約30キロ、幅は最も狭いところで698メートルとマルマラ海から地中海への出入り口ダーダネルス海峡も長さ約60キロ、幅1.2キロから6キロ程度と水上、水中どちらも軍事活動、水中型MDを運用するには不向きだ。
水中型MDを効率よく運用、生産も可能な基地を確保しておいても損はないだろう。
「さて、今回はそれなりにリスクがある戦いとなる。参加者は常より引き締めて掛かるように」
了承する声と感情が伝わって来るが、私からするとあまりにも軽い。
特に急ぎ増やした新米ナンバーの教育が不十分だ。
身体能力的にはともかく、精神が未熟過ぎる……が、精神を鍛えるとニュータイプとしての成長が遅くなる。
ニュータイプとして覚醒していれば年齢を重ねても成長するが、その成長率は精神の形成されるまでが1番良いので良し悪しだ。まぁその未熟性故にトラブルが多く、手間も掛かるのだが。
「今回の侵攻で死ぬ可能性もあるのだが……その時はその時か」