第七十五話
突然だが、採掘船を作った。
戦争が始まるかもしれないということでそれ相応の準備をするためにアッティスを専用艦兼採掘船などという中途半端なことをしておくわけにはいかなくなった。
というわけでアッティスを戦闘艦兼空母として生まれ変わらせる。
とりあえず、メガ粒子砲を搭載させるために核融合炉を最新型に更新させ、メガ粒子砲の数は前面に3門、後面に2門、両側面に各4門ずつ設置する予定だ。
更にMSカタパルトは前面に2基用意する。所有MSの数とその能力から展開能力が多少低くても問題ないためカタパルトは1基で十分なのだが被弾で使えなくなった場合も考慮してのことだ。
後、待望の巨大エロ触手こと多関節アームの目処も立った。数は6本を予定しており、純粋な近接戦闘用ではあるが、ヒートロッドのように強力な電撃を与えることができるようになっているのでMSの鹵獲などに優れている……つまり、資源の再利用ができ、補給能力を得たも等しいのだ。
スクラップでサイコミュやファンネルを再現するのは難しいだろうが、キメラ的なMSを量産することはできるだろう。
それをアクシズに提供すれば多少は(ハマーン以外の)心象も良くなる可能性が……微レ存するはずだ。
更にスミレが先日Iフィールド発生装置を20%ほどコンパクト化に成功したのでテストも兼ねて2基搭載予定だ。
2基搭載する理由は1基がトラブルを起こしても問題ないように安全策だ。
これで防御面は不安がなくなった……と言いたいところだが、実はこれにも弱点がある。
Iフィールドの外側からなら問題ないが内側に入られた場合、ファンネルで対応しようとしても外側からビームを射ってもIフィールドに弾かれることだ。つまり対空防御が下がるということだ。
おそらくプルシリーズと私のファンネルを超えてくるような戦力とパイロットはあまりいないだろうが、それでも想定しておくにべきだ。
有効手段としては巨大エロ触手ならIフィールドの内側をカバーできるが……優れたパイロットと戦うとなると不安がある。
何か対策を考えておかないといけないな。
武装面ではこれぐらいだろうか。
他には2日でキュベレイmk-IIを完成させるだけの生産設備、ファンネルやアッティスの整備部品の製造設備で補給能力、採掘船の時よりも居住空間の充実などでプルシリーズの負担軽減など図っている。
居住空間の充実に関してはアッティスを動かすのには私1人で済むため、乗組員ではなく、パイロットであるプルシリーズのみ、後は非戦闘員であるスミレぐらいしか搭乗予定はなく、通常の戦艦などよりは断然スペース的に余裕がある。だからこそストレスを溜めないように(さすがに戦争中にニュータイプ訓練をやれとは言わない)部屋を広く確保しているし、食堂や風呂などは当然として、リラクゼーション設備や人工庭園なども用意し、充実させている。
これらは既に小さなコロニーのような仕上がりだ。
「……アッティスを相手にする人間には同情する。まさかこんな仕上がりになるとは私も思いもしなかったぞ」
「ハマーン様が言うとおりですね。これはもう外から落とすのは無理ですよ。プル達を唆して内側から落とす方がまだ成功率が高そうです」
まぁプル達に内応を仕掛ける方が効果的だろうことは認める。
強いて攻略方法があるとすればアッティス自体が私一人で運営していることから戦いを挑み続け、休憩を与える暇もなく、肉体疲労、精神疲労を狙われると流石に厳しいだろうな。
寝ている間もファンネルを操作……なんて流石にできないからな……できないはずだが……今度試してみるか。
「後はプルシリーズとキュベレイmk-IIを定数まで揃えれば完璧だ」
「……そもそもこの戦力、アクシズより大きいのではないか」
「ハマーン様……それは言ってはダメですよ」