アニメやマンガを勝手に応援・支持しています。二次小説ではGS美神の「陰陽師横島！ハーレム大作戦！！」や火魅子伝「火魅子伝改」を公開しています。

第八十六話



<ティターンズきってのゴキブ……生命力豊かな男>

　ジャマイカンのやつは何を考えていやがる。
　こんなジオン共の真似事をして何が面白いんだ。
　殺し合いってのはガチで殺り合ってこそ面白んだよ。
　いけすかねぇ。いけすかねぇなぁ。
　いい加減ジャマイカンの野郎もバスクの野郎も始末した方が楽しいことが待ってるんじゃ？なんて思っていたが——

「これは楽しいとか楽しくないとかいうレベルじゃねぇ！！」

　何なんだ、こいつらは。
　連携はトーシローに毛が生えただけのくせに動きだけはいい……いや、いいなんて簡単に表していいものじゃねぇか、ハッキリ言って1機でも結構手間取るというのに、それが何機もいやがる。
　その中でもとびきり上等なのがこの2機なのは間違いない。この黒と赤のパイロットは他のやつらと同じようでいて、操縦技術だけではなく何かが違う。
　その何かに加えて、一年戦争時にジオンが使っていた特殊武装である……確かビットとかいう兵器まで使ってくる。
　レトロなゲーセンにある弾幕ゲーのようなビームの嵐はさすがの俺様でもキツイ。ミノフスキー粒子仕事しろ。

「狙いが素直過ぎて躱すことはでき——ぶねぇ？！これはお返し——ってまたアレか！！」

　そして何より厄介なのは敵のMSの近くをうろついてやがるビットだ。
　この子供のおもちゃのようなMSに乗るパイロットは凄腕なのは間違いないが、どこかマニュアルに沿って対応しているような……新人が陥りやすい、教本通りの対処をしているような素直な印象を受ける。その証拠に少しの駆け引きで引っかかったり、隙が生まれたりする。
　それを突いて何度か落とせると思った瞬間があった。だが、その時だけあのビットが盾となって防ぎやがる。
　この守るビットの本体はどれだ。この黒と赤の機体じゃない……いや、戦場に出てやがるMSじゃないのはわかるが……まさかあの艦ってわけでもないだろうしな。

「援護を期待したいところだが——エゥーゴのやつらまで出てきちゃこっちに手が回らんか」

　エゥーゴのやつらもなかなか歯ごたえがあるが、危険性はこちらの方が断然上だ。
　しかし、表面上の数からすりゃ、あっちの方が問題に見えるから仕方ないのだろうが——

「あぁっ！くそっ！いらねーこと考えている間に被弾してりゃせわねぇな！」

　万全な状態ですらギリギリだってのに、被弾した状況じゃどうにもできねぇ……こんなところで死んでたまるかあぁ！



『む〜、時間掛かり過ぎ〜。私達の方が強いはずなのに〜』
『実戦とは強さだけで決まるわけではないというのは本当だったのだな。1対1なら万が一があったかもしれない』
『あのパイロット殺っちゃわなくていいのかな？今なら殺れるよ？』
『非人道的相手に人道的な態度を示すことでこちらが有利になる……とアレンは言っていた。脱出したパイロットは放置』
『でもまた敵になるかもしれないし……』
「そんなことを言っていると人類全てを滅ぼさなくてはならなくなるぞ」

　まだ戦闘中でありながら無駄口を叩くとは……強い敵を無事倒せて気が緩むにしても緩みすぎだ。
　幸い、乗っていた機体はパイロットの潔さのおかげでほぼ無事(被弾して次はないと割り切ったヤザンは早々に脱出した)鹵獲できた。
　他にもハイザックや赤いザクもどきも鹵獲することができた……が、鹵獲のために多目的多関節アームを出した瞬間、ティターンズとエゥーゴの戦闘が一瞬止まったのは気のせいだろうか？

「さて、こちらに向けられた部隊は蹴散らしたし、次はコロニー制圧に向かう」

　おいしいところは私達が頂くとしよう。
　幸い、ティターンズのMSはほとんどがエゥーゴの部隊と戦闘中で、今現在は少数の護衛と艦隊ぐらいしかいない。
　その艦隊も残りは新型艦1隻とマゼラン級1隻、サラミス級3隻と少数、それにエゥーゴへ艦砲を集中しているためこちらにはほとんど無警戒だ。
　……ん？そういえばあのプライドが高そうなニュータイプの乗っていた新型艦がいつの間にかいなくなってるな？
　私が寝て、索敵能力が落ちている間に別れたか。

「……あのコロニーをどうするかと思ったが、こちらで手に入れるか？」

　推進用に加えて修正用の核パルスエンジンまで取り付けられているとなるとちょっとした移動要塞として運用できるだろう。
　元々廃棄されていたコロニーなのだから誰が使おうとかまわないだろうし、エゥーゴとルナリアン達との交渉は、私達が奪取してしまえば文句を言ってくることもないはずだ。
　問題は残り時間だな。
　あまり月に接近し過ぎると重力から抜け出せなくなるだろう。

「よし、そうと決まれば残りのキュベレイIIも出撃させろ。ティターンズには撤退するなら追撃はしないと電文を入れて撤退を促せろ」
「りょうかい」





　そう時間は経たずしてプル達は核パルスエンジンに取り付き、コントロールを奪取することに成功した。
　結局、プル達に戦死者は無し、キュベレイIIはいくらか中破が1、小破4、ファンネル損失10というところで大した被害はなかったな。