すいません。いつも以上に短いです。
ちょっと今日は体調が悪くてこのような形になりました。
申し訳ありません。
第九十二話
<プルツー>
面倒なことになった。
フォン・ブラウン市から捕まえたスパイの引き渡しを要求された。
話を聞いてみればフォン・ブラウン市の本籍を持っているということで取り調べはフォン・ブラウン市の警察が行うという。
そう言われれば理解できなくもない……が、納得できない。
被害こそないが初めての私達の明確な敵(ティターンズや連邦などはアクシズの敵であってアレン達にとっては敵ではない)なのだから私達が責任を持って始末すべきことだと思う。
とはいえ、相手はフォン・ブラウン市ともなると私の独断で決めていいものか悩む……悩んだ末——
『私に連絡を寄越した、と……無理して自己解決しなかったことはいい判断だ』
「戦闘でお疲れのところ申し訳ありません」
アレン博士に連絡をすることにした。
しかし、今の今までミノフスキー粒子が散布されていた影響で通信ができなかったことを考えると戦闘が終わってすぐということになる。
アレン博士の勝利を疑ったこともないし苦戦する姿も想像ができないが疲労ぐらいはするはずで、できればこちらで処理したかった。
『プルツーが責任感が強いことは知っている。だからこそミソロギアを任せた。そしてそれを見事熟している』
「……ありがとうございます」
『納得していないようだな』
こんな時にあまり読まない空気を読まないでもらいたい。
『とりあえず交渉はプルツーに任せる。これも経験だ』
「わかりました」
『まず譲歩はなし、相手を言い負かせろ』
……難解な課題を与えられた。
『とはいえ、ヒントを与えよう。私達は何者だ』
以上だ。と言い終わると通信が切られてしまった。
「私達が何者か……」
私達?私達はアレン博士に生み出されたニュータイプのクローン……いえ、私達の中にはアレン博士も含まれていたから違う。
アレン博士と私の共通点……ニュータイプであること、しかし交渉にどういう関係が?まさかMSで恫喝しろというわけではないだろうし……そもそもそうであるなら交渉などという遠回しな言い方はしないはず。
「しかし、アレン博士が難解ではあっても無理な課題を出すとは思えない」
ニュータイプ……ニュータイプに何が……って、忘れていた。ニュータイプは相手の感情を読み取ることができるのだった。
私達はプルシリーズはクローンであることから多少の違いはあれ、思考パターンというか本能というか、そのあたりのものは似通っているためニュータイプ能力など使わなくてもいい。
アレン博士は……アレン博士だから。
ハマーンに関しては知る必要もない。
つまり、感情を読み取るということをあまりしてこなかった。
「確かに交渉ならどうとでもなりそうだ。そうなると通信越しではなく会う必要があるな」
ふむ、プルツーの交渉は上手くいったようだ。
私が与えたヒントもうまく活用したようで何より。
スパイを拷問したところ所属はティターンズであることが判明した。
まぁ拷問と言っても私特製の自白剤を投与しただけだが……普通に拷問を受けた方が楽なほどの苦痛があったりするのだがそこは気にしない。
ということでフォン・ブラウン市の証人の下、きっちり始末したらしい。
このスパイは元々連邦の内部調査をしていたらしい。エゥーゴの協力者の洗い出しや不正を働く連邦兵などの情報を集めていたようだ。
そしてたまたま大規模なジオン残党(アクシズのこと)の情報を手に入れ、しかも物資まで融通しているのでそれに紛れて侵入できるのではないかと思って行動した、というのが全容だ。
全く面倒事を増やしてくれたものだ。